防災学術連携体が「西日本豪雨・市民への緊急メッセージ」を発表、ICHARM小池センター長が解説を行いました

 防災に関わる56の学会ネットワークである防災学術連携体は、平成30年7月西日本豪雨災害に関して、平成30年7月22日に「西日本豪雨・市民への緊急メッセージ」を発表しました。

 この緊急メッセージは以下の4つから成っており、ICHARM小池センター長は日本学術会議会員として参加し、3.について記者会見時に解説を行いました。

   1. 地球環境の変化は、自然災害として身近に迫っています
   2. 西日本豪雨の降った地域では二次災害に備えて下さい
   3. あなたには災害の危険性を知る義務と、自分と家族を守る責任があります
   4. 複合災害に目を向けましょう

 「西日本豪雨・市民への緊急メッセージ」の全文は以下の通りです。また、記者会見時の解説資料などは下記ホームページをご覧ください。

 西日本豪雨・市民への緊急メッセージ(防災学術連携体 幹事会)
http://janet-dr.com/050_saigaiji/2018/050_2018_gouu/20180722_emergencymessage/2018gouu_0722_emessage.html


 西日本豪雨・市民への緊急メッセージ

1、地球環境の変化は、自然災害として身近に迫っています

  • 温暖化の進行にともない、長期的に見れば日本近海も温暖化し、大気中の水蒸気量も増えつつある中、豪雨の発生頻度が高まりその規模も大きくなる傾向にあります。
  • 実際、近年は深刻な豪雨災害が毎年起きており、日本中どこでも小さな町でも大きな都市でも、地形や河川の特性、土地利用によって、洪水氾濫や浸水、土砂崩れや土石流などの危険性が高まってきています。
  • 今夏も「平成30年7月豪雨」による甚大な被害が、西日本を中心に過去に例を見ないほど広域に拡がっています。
  • 今後、夏後半から秋にかけては、台風や秋雨前線に伴う大雨への備えが必要です。
  • 西日本などの豪雨被災地では、特にここしばらくは猛暑に厳重に警戒してください。

2、西日本豪雨の降った地域では二次災害に備えて下さい

  • 西日本周辺では水を含むことで脆弱になりやすい花崗岩類が広く分布しています。豪雨が終了した後でも、しばらくの間は多量の水分が土壌中に残っているため、土砂災害が発生しなかった地域でも、通常降雨で土砂崩れが発生する危険性が極めて高い状態にあります。
  • 山地内には今回の土砂崩れによって土石流になりやすい多量の土砂が残っており、危険な状態にあります。山地内で渓流をせき止めた状態にある土砂は、雨が降ってなくても土石流になることがあります。
  • これらの状態は人目に触れにくい箇所にあることも多く、引き続き警戒が必要です。
  • 二次災害防止のため、多くの専門家が派遣されていますが、個々人では決して危険な状態にある山地内には立ち入らないで下さい。
  • 土砂災害が発生した箇所での復旧活動に従事されている住民及びボランティアの方は、少雨の場合でも活動を中止して、早めの避難行動をお願いします。

3、あなたには災害の危険性を知る義務と、自分と家族を守る責任があります

  • 日本中いたる所で豪雨災害が発生しています。あなたのまちも例外ではありません。
  • これまで豪雨があまりなかった地域ほど、経験不足のため豪雨災害が大きくなります。
  • 自分たちの安全は自分たちで守ることが第一の基本です。広域の同時多発災害の場合は、救助や支援の手が届くのが遅れる場合があります。
  • あなたのまちのハザードマップと地域防災計画を参考にして、河川が氾濫した場合には
    何m浸水してしまうのか、土砂災害が起こりやすい場所ではないかを、自ら確認してください。
  • 「警報」は危険が身近に迫っていること、「特別警報」はこれ以上ないほどの危険が差し迫っていることを伝えています。
  • 市町村からの避難情報にも注意してください。特に「避難準備・高齢者等避難開始」が発令されたら、避難に時間を要する人(ご高齢の方、障害のある方、乳幼児等)とその支援者は避難を開始してください。

4、複合災害に目を向けましょう

  • 日本列島にはさまざまな災害が多発しています。豪雨災害のあとの地震、大地震のあとの豪雨、台風のときに地震が重なるなど、被害が拡大しがちな複合的な災害に備える必要があります。
  • 最悪の事態を想定しつつ、複合災害が発生したらどう行動すればよいかを日頃から考えておきましょう。