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「洪水ハザードマップ作成」研修・フォローアップセミナー

フォローアップセミナー 2008

「第2回  East & Southeast Asia Regional Seminar
on Flood Hazard Mapping, 2008」の報告

2008年1月30日~2月1日の間、中国の広東省において第2回『EAST & SOUTHEAST ASIA REGIONAL SEMINAR ON FLOOD HAZARD MAPPING, 2008』を国際協力機構(JICA)の支援の元、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)と中国国家治水旱魃救援本部(Office of State Flood Control and Drought Relief Headquarter, China)との共催で開催しました。

 

このセミナーは、国際協力機構(JICA)の委託を受けてICHARMが実施している地域別「洪水ハザードマップ作成」研修のフォローアップの一環です。第1回のセミナーは昨年の2月上旬にマレーシアのクアラルンプールで開催しました。本セミナーは、これまで4回実施している同研修の帰国研修員を各国(中国、ベトナム、カンボジア、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ラオス、タイ)から招待し(ベトナムは都合により欠席)、研修終了後の洪水ハザードマップ作成・普及に関する活動報告と、各研修員が業務を実施していく中での成功事例や直面している問題点、各国で求められている洪水ハザードマップの利活用方法等について知識・経験の共有と問題解決のためのディスカッションを行うことを目的としています。

また、Asian Institute of Technology(AIT)のManzul Hazalika氏、中国水利水電科学研究院のLi Na氏らによる特別講演も行われました。また、上記研修に対する意見や要望も取り集め、次回からの研修をより効果的なものに改善することも併せて目的としています。

セミナープログラムの概要

1日目 (1月30日)
開会式
各国の洪水被害の現状報告
洪水ハザードマップ関連の活動報告

2日目 (1月31日)
Manzul Hazalika氏講演
現地視察地の概要説明
現地視察( North Pearl 川の治水施設)

3日目 (2月1日)
Li Na 氏講演
総合討論
中国の洪水ハザードマッププロジェクトの紹介
Q&A セッション

閉会式

今回のセミナーでは、昨年の第1回のセミナーで報告された帰国研修員による各国の現状からどの程度プロジェクトが進行し、どのような問題に直面しているかというのが大きな焦点の一つでした。

昨年度から大きく進展していたのは中国とマレーシアです。昨年と比べ、洪水ハザードマップが作成された地域が増え(中国:36の地域で200種類以上、マレーシア:2つの地域で数種類)、想定浸水区域図を作成するための洪水氾濫シミュレーションも現地の状況や過去の洪水災害を踏まえ、より現実的な条件設定がなされています。また、洪水ハザードマップ作成のために必要なデータ作成・収集も進んでいます。ただし、どちらの国においても、洪水ハザードマップは行政機関向けに作成されており、広く住民に公表するには至っていません。

カンボジア、インドネシアでは外国の研究機関と共同で試験地域における洪水ハザードマッププロジェクトが進んでおり、浸水想定区域図が作成されています。自国だけでは予算面でも技術面でも洪水ハザードマップ作成が難しい状況では、この様な方法も有効だと考えられます。

タイにおいては、帰国研修員が非常に熱心に洪水ハザードマップ作成に取り組んでいます。試験地域における浸水想定区域図は既に作成されており、来年度には洪水ハザードマップが掲載された大きな看板を街中に設置する予定です。

フィリピンでは、引き続きコミュニティーベースの洪水ハザードマップ作成が続けられています。洪水氾濫シミュレーション等はまだ行われていませんが、地域住民と共に住民のニーズに合ったマップの作成が期待されます。

ラオスでは、具体的な成果はまだ出ていませんが、洪水ハザードマップ作成のためのデータ作成・収集が進んでいます。

また、洪水ハザードマップ作成における各国の今後の課題として、データ整備、技術習得に加え、洪水ハザードマップ作成マニュアルのようなガイドラインの作成が必要との意見が多くの国から出されました。

セミナーの様子

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