Appl Tree
The Newton Apple Tree
NEL News
新潟試験所ニュース
季刊 ・ 第8号 土木研究所 新潟試験所

1999年2月発行

Niigata Experimental Laboratory , Public Works Research Institute

【新年の挨拶】

新潟試験所長 加藤 信夫 新潟試験所長 加藤 信夫

 あけましておめでとうございます。
 平年並と予想されている今冬の雪がどうなるか見守っているところです。
 我が国の人の営みを空間と時間でみたとき、国土の約6割の地域で年間の約4割もの期間は、自然災害や障害の大部分が、降積雪・寒冷に起因しています。雪解けによる土砂災害、集落等の雪崩災害や道路雪害の防止・軽減に関する試験研究をとおし、この地域のこの期間の安全、安心づくりに寄与する責務を改めて感じる次第です。
 皆様方の御支援、御指導を得てこれらの課題に対処していきたく、本年もよろしくお願い申し上げます。


【トピックス】

■雪寒対策技術、新道路技術五箇年計画の重点技術研究開発項目とされる

 新道路整備五箇年計画(平成10年5月29日閣議決定)に基づき、「新技術の開発・導入の促進」を積極的に推進するため建設省道路局と土木研究所は「新道路技術五箇年計画」(平成10年度〜14年度)を平成10年11月に策定しました。この中で5つの主要課題と13の重点技術研究開発項目を掲げ研究の重点化を図ることとし、そのひとつとして「未利用エネルギーの活用等による環境に優しい雪寒対策技術」があげられており、当試験所ではこの推進を図っていくこととしています。
 この五箇年計画の推進の特徴として国が行うべき技術研究開発の明確化を行うとともに、民間、大学、行政の技術力の結集に向け「技術研究開発基本協定」の提案及び技術開発のインセンティブとして、大学、民間等に研究開発補助金、知的所有権の1/2譲渡が提案されています。

(文責:加藤)

■冬期路面状況と道路機能に関する定点観測所設置

冬期路面状況と道路機能に関する定点観測所設置 冬期道路における路面管理水準の策定と雪害対策に資することを目的に、平成9年度に引き続き国道18号において定点観測を行います。平成10年度は、新潟県新井市籠町地先(標高約50m)から降雪・気温条件が厳しいさらに内陸側16kmの妙高高原町二俣地先(標高約470m)に観測所を移設しました。観測は気象、降雪、路面状況、交通量、速度等を自動観測し、路面のすべり摩擦係数、残留塩分等については気象条件の厳しい時に計測員が24時間観測を行います。
 実際の道路において、降雪、路面凍結障害に対する除雪、凍結防止剤散布などの道路機能の確保効果と障害発生のメカニズムを路面の熱収支,車輌の走行の路面への影響等を分析し、冬期路面管理水準の策定及び効果的な路面凍結対策に資するものであり、道路技術五箇年計画(H10〜H14)の重点課題「未利用エネルギーの活用等による環境に優しい雪寒対策技術」の推進に寄与するものです。

(文責:荒川)

JICA「ハイウェイセミナーU」研修生来所

 平成10年11月6日にアフリカやアジア地域の18名の研修生が来所しました。「日本における冬期道路管理」と「路面凍結と対策」についての講義後、北陸地建高田工事事務所直江津国道維持出張所に移動し、道路情報システム、各種除雪機械、凍結防止剤散布車の視察をして頂きました。積雪地域の国はトルコだけでしたが、皆さんは雪を対象にした道路管理について興味を示し、活発な質問が出ました。

(文責:早川)

中国科学院道路雪害担当研究員来所

 平成10年12月初旬に中国科学院新彊生態与地理研究所で道路の雪崩対策を担当している姜逢清研究員を迎え、豪雪地の国道17号線と関越自動車道の除雪、凍結防止、雪崩対策等の道路雪害対策を視察して頂き、その後当試験所にて道路雪害全般にわたり意見交換をしました。
 天山山脈のほぼ中央にある同研究所周辺の気象条件は年平均最大積雪深は80p程度ですが、大陸性気候を反映して1月の平均気温は-14.4℃と大変寒いとのことです。
新彊自治区の除雪機械は約20台(うち2台がロータリー除雪車)で、我が国の機械力に驚いていました。同地域の山岳道路沿線では雪崩が11月と3月に多発し、それぞれ表層雪崩と全層雪崩に対応していて、全体の8割は表層雪崩です。また、天山山脈の山岳道路では雪崩の他に吹雪による交通障害も大きな問題となっており、この分野で長年取り組んで成果を挙げている我が国の技術導入を望んでいました。

(文責:早川)
NEXT

News Top