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The Newton Apple Tree

季刊 ・ 第33号 土木研究所 雪崩・地すべり研究センター
2005年5月発行 Snow Avalanche and Lndslide Research Center


【地すべり及び雪崩に関する研究を強力に推進--試験所の改編】

 19年ぶりといわれる豪雪の影響か、開花が遅れていた「ニュートンのリンゴ」も清楚な花を咲かせ始めました。
 新潟試験所は昭和35年以来積雪地帯における地すべり・雪崩及び道路の雪害等に関する研究開発・技術指導に関する業務を行ってきましたが、4月より「雪崩・地すべり研究センター」と改称いたしました。これは、昨年10月の新潟県中越地震において未曾有の土砂災害が発生し、土砂災害分野の役割が非常に高まっていることを踏まえ、地すべり及び雪崩に関する研究に特化し、土木研究所本所の土砂管理研究グループとのより強い連携のもと、研究開発を強力に推進するためです。なお、道路雪害部門は基礎道路技術研究グループが担当します。
 これを機に45年間の研究実績を継承し、豊かな反面厳しさを内在した積雪地域の実態に即した防災技術の向上を図り、安全で活力ある地域社会づくりに資するべく、職員一同さらに研究に邁進する所存でございます。今後ともより一層の御高配を賜りますよう、お願い申し上げます。
 「試験所ニュース」も研究センターたよりと改称し心機一転さらに情報発信に努めます。最後に、新しい門出のはなむけに看板と小誌の題字を揮毫していただいた入村「新生妙高市長」に、心より御礼を申しあげます。

独立行政法人 土木研究所 土砂管理研究グループ
雪崩・地すべり研究センター初代センター所長
花岡 正明   

 

【トピックス】

■雪崩、地すべりの融雪時災害の頻発

 


下倉地すべり滑落崖付近の状況

  豪雪に見舞われ、本センターがある新潟県上越地方では、雪崩及び融雪地すべりが発生しています。一例として、糸魚川市の依頼により調査した4月7日に発生した糸魚川市下倉地内の地すべりについて紹介します。二級河川高倉川右岸側から約370m離れた水田の斜面を頭部とする長さ約150m、幅約50mの地すべり土塊は、その下方の沢を多量の融雪水により泥濘化しながら約150m流下後、市道を延長約80m、高さ約2mにわたって埋めた後、その下方の高倉川を一部閉塞し停止しました。このような地すべり災害の形態は、融雪期の代表的なものです。また、2月から3月にかけて上越・中越地方を中心に雪崩も発生しており、2月26日には妙高村(現妙高市)燕温泉で発生した雪崩については、新潟県知事より要請を受け、当センター研究員が現地調査を行いました。

 

■中越地震関連の斜面災害調査


長岡市芋川沿いの状況3月24日

 中越地震による斜面災害に関する研究の一環として、3月〜5月の融雪期に主に長岡市の芋川沿いの雪崩及び地すべりの発生状況をヘリコプターからと現地踏査により調査しています。

 

■地すべり・雪害研究推進協議会講演会開催

 2月25日「地すべり・雪害推進協議会」及び「新井地区治水砂防協会」共催の講演会が新井市内で開催され、一般市民を含め約230名が参加しました。講演会では、新潟大学の丸井英明教授による基調講演「新潟県中越地震によって発生した地すべり災害について」が行われ地震に伴う甚大な土砂災害を再認識しました。また、新井砂防事務所及び当センター職員による研究発表も行われました。

 

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