地域を守る雪崩・地すべり研究の充実を！

雪崩・地すべり研究推進協議会　会長　入村 明

　新潟県中上越地方は、日本有数の地すべり地帯に位置し、毎年のように地すべりや雪崩が頻発しており、地域住民の安全、安心な暮らしを守ることは、行政の重要な施策であり、地域の切なる願いです。
　昭和35年に設立された「新潟地すべり試験所」（当時）は、このような願いが実現した拠点であり、この活動の充実、強化に向け、上越地域の自治体が一丸となり「新潟試験所後援会」を設置し、長年、地すべり防止活動などを行ってきました。昨年の市町村合併と中越地震を契機に、組織の充実と活動エリアの拡充を図るために、新たに中越地震で被災した関係自治体が加わり、本年6月に設立されたのが「雪崩・地すべり研究推進協議会」です。
　 中越地震や7.13水害、平成18年豪雪と災害はいつ何時襲ってくるかわかりません。そのための備えが何より大切であり、学術的なサイドからの調査研究は、地球規模での異常気象の中で、頻発する自然災害を防止する大きな力となるものと確信しています。
　 この協議会の設立を契機に、関係自治体がさらに連携し、災害復興と雪崩・地すべり防止対策に取り組み、地域住民の安全、安心な暮らしを守り、豊かな自然と共生できる魅力的な地域を創ってまいりたいと考えています。

　「新潟地すべり試験所」設立と同時に地元市町村の後援会が組織され、試験所の研究推進を支援する一方で、会員の資質向上を目指し、研修会や現地見学会を実施してきました。
　 冬期道路雪害対策着手ののち「雪害・地すべり研究推進協議会」と改称し、上越地方に松代町、松之山町を加えた22もの市町村が会員となっていました。「平成の大合併に伴い、妙高、上越、糸魚川及び十日町市の一部の市に統合となり、合併に先立つ平成16年11月に発展的に解散し、新たに中越の市町を加え再発足しました。会員は旧会員に、中越地震で激甚な地すべり災害が発生した山古志村・栃尾市等を合併した長岡市、及び小千谷市、川口町と雪崩災害が多発する魚沼市が加わり、７市１町に拡充され、会長は旧新井市長から新生妙高市長となった入村市長が選出されました。平成18年６月28日に設立総会が開催され、来賓として、国土交通省砂防部砂防計画課長と新潟県砂防課長が臨席されました。新規加入した星野芳昭魚沼市長、関広一小千谷市長も出席され、また、土木研究所池田理事が協議会設立に対してお礼をのべました。

　例年行われている、講演会を記念講演とし、妙高地区治水砂防協会と共催で行い、中野砂防計画課長、（独）長岡雪氷災害研究センター佐藤篤史所長を講師にお招きしました。

　会場には会員である市町村の担当職員、土砂及び雪崩に関わる防災担当者、一般市民など120余名が参加しました。

【学会発表等】

地すべり学会新潟シンポジウム
「新潟県中越地震と地すべり−その3山間地の復旧にむけて」（5月19日、新潟市、地すべり学会新潟支部主催）講演：ハスバートル交流研究員（当時）「新潟県中越地震における地すべりの発生機構の検討−塩谷神沢川地すべりを例に−」

平成18年度砂防学会研究発表会（5月24〜25日）
和歌山県民会館・花岡所長「平成18年豪雪の雪崩災害」・丸山総括主研「光ファイバ伸縮計の開発」・ハスバートル交流研究員（当時）「中越地震における地すべり土塊の滑動機構」口頭発表

第6回日本雪工学会上信越支部研究発表会
8月4日長岡技術科学大学・花岡所長「2006年2月長野県屋敷地区で発生した雪崩」、（株）アルゴス上石勲、池田慎二両氏「2006年4月岐阜県高山市上宝穴毛谷で発生した雪崩」、「平成18年豪雪における雪崩総合観測結果（速報）」共同発表