土木研究所を知る

理事長挨拶

国立研究開発法人土木研究所理事長藤田光一

 令和4年4月1日に国立研究開発法人 土木研究所 理事長に就任した藤田です。
 私たちにとってかけがえの無い地球。しかし、元のままの地球はとても野性的なので、私たちの暮らしが良くなり、人間社会が持続的に発展でき、自然の恵みを享受できるよう、地球と人間との間には“インターフェース” が不可欠です。文明の発祥以来、人類はこれをつくる営みを積み重ねてきました。このインターフェース(⇒社会インフラ)づくりの根幹を支えるのが土木技術です。

 土木研究所は、大正11年(1922年)の内務省土木試験所としての設立
から、この営みを担う重要な一員になり、爾来一世紀にわたって土木技術
の向上を担う中核機関として我が国の発展に寄与してきました。
 人類にとっての社会インフラの重要性は不易。しかし、時代とともに追求すべきことは変わります。土木研究所もこの百年間、時代毎に社会が求めるものを洞察し、取り組みを展開させてきました。その新たなページを開くのが次の 3つを柱にする令和4年度から6年間の新「中長期計画」です。

  1. 自然災害からいのちと暮らしを守る国土づくりへの貢献
  2. スマートで持続可能な社会資本の管理への貢献
  3. 活力ある魅力的な地域・生活への貢献

 これらは、我が国が今日直面する自然災害の激甚化・頻発化、膨大なインフラの老朽化進行、急速な生産年齢人口の減少を見据えたものです。実施においては、既存技術を伸ばし、壁を突破し、デジタル技術 など新興著しい技術を組み込み、分野間の越境・融合を図る道筋を、国民が期待する目標達成を基軸に、従来思考・枠組みにとらわれず柔軟に考えていきます。

 土木研究所の強みは、研究開発の成果を現場に還元し、実際を良くすることが当初から活動の主流にあることです。自らの眼力で現場の本質的ニーズを見抜いて研究課題を特定し、技術支援を行うDNAが受け継がれ、 国土交通省等との密接な連携をはじめ、この力を持続・発展させる仕組みが備わり、それは次代を担う技術者が主体的に育つ場の提供にもつながっています。土木研究所は、この強みをさらに発揮し、良質な社会資本の効率的な整備に貢献することをはじめとした使命を果たしていきます。

国立研究開発法人土木研究所
理事長 藤田 光一