河川技術に関するシンポジウム優秀発表者賞 受賞

植物群落と物理環境を基準とした景観区分とその遷移過程

水環境研究グループ河川生態チームの田頭直樹交流研究員が、6月5〜6日にで開催された「2014年度 河川技術に関するシンポジウム」(主催:土木学会、開催場所:東大弥生講堂)において、下記のとおり、優秀発表者賞を受賞しました。

論文名:植物群落と物理環境を基準とした景観区分とその遷移過程-セグメント2河道を対象として-
筆者:田頭直樹(1)・片桐浩司(2)・傳田正利(3)・大石哲也(4)・萱場祐一(5)
(1)水環境研究グループ河川生態チーム 交流研究員/
(2)水環境研究グループ河川生態チーム 専門研究員/
(3)水環境研究グループ河川生態チーム 主任研究員/
(4)水環境研究グループ自然共生研究センター 主任研究員/
(5)水環境研究グループ河川生態チーム 上席研究員/
概要(図1〜図3も参照):
 今後の適正な河道管理に向けて、河道内植生の動態解明と予測技術に資することを目的に、新たな空間単位である「群落クラスタ」を提案した。群落クラスタは、裸地や草地といった景観と植物群落の中間的な位置付けとなる。
 群落クラスタは、物理環境に基づき、植物群落を統合した。具体的には、植物群落別の比高、水際からの距離、掃流力を集計し、それらを説明変数としたクラスタ分析を行った。集計にあたっては、GISを用いて、5m×5mメッシュの空間データを作成し、同一メッシュの植物群落と物理環境の関係を整理した。調査地は、米代川のセグメント2区間(10q〜23q)とした。
 群落クラスタは、類似した生育環境を有する植物群落が統合された。群落クラスタを導入することで、植物群落の複雑な遷移過程が簡略化された。さらに、物理環境との連関性が向上し、今後の予測技術へ展開が可能なことを示した。
 本結果は、現状の河川工学で予測し得る物理環境を用いた場合、どの程度の空間単位で植生動態を解析すべきかを示唆するものである。また、従来の景観よりも植物群落の生態的特徴を有した空間単位であるため、生物多様性などの環境問題に対処しやすい。

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