奨励賞 受賞


  段階的復旧対策技術による水質改善効果
材料資源研究グループリサイクルチームの安井宣仁研究員の論文が、6月25日に砂防会館で開催された日本下水道協会第3回定時総会において、下水道協会誌奨励賞を受賞しました。
                   



授与機関:公益社団法人 日本下水道協会

受賞名:平成26年度 奨励賞(学術論文であって、下水道の整備促進に寄与する論文を表彰するもの。)

論文名:「津波被災下水処理場の段階的復旧対策技術による水質改善効果」
       (下水道協会誌 Vol.50,No.614,pp.111-120,2013.12)

著者:○諏訪守¹、安井宣仁¹、鈴木穣²、岡本誠一郎³、桜井健介¹

     ¹ 材料資源研究グループリサイクルチーム/
     ² 材料資源研究グループ長/
     ³ 前・材料資源研究グループリサイクルチーム 上席研究員/

 

概要(写真-1、図1〜図3、表-1も参照):

 東日本大震災の津波により壊滅的な被災を受けた下水処理場(仙塩浄化センター、所在地:多賀城市)を対象に継続的な現地調査(写真-1、表-1)を実施し、下水処理場の段階的な復旧対策技術による有機物や病原微生物の除去および消毒効果の改善を評価するとともに、処理機能の回復と処理水質の改善にともなう放流水域の水質改善効果を明らかにしました。
 論文のポイントは「段階的復旧対策技術による放流水質の改善効果」、「消毒効果向上手法の評価」(本稿では省略)及び「放流先水質の改善状況」の3点であり、主な結果は以下のとおりです。
 
 1)復旧初期の簡易沈殿処理から順に下水処理機能の回復を行い、簡易曝気や汚泥
  返送の復旧、更には活性汚泥生成と処理水準をあげるにしたがい消毒効率と効果は
  向上しました。(図-1、2)
 2)放流水質の改善効果が放流先のDO(溶存酸素)濃度の改善に反映されました。(図-3)
 3)放流先水域のノロウイルス濃度は震災前の値に戻る傾向が確認されました。(図-4)
 
 なお、本調査にあわせ簡易沈殿処理などの各処理段階に応じた水質管理方法の改善提案など、下水道管理者である宮城県からの要請を受け現地において技術指導を実施しました。
 本成果の一部である各処理段階に応じた管理方法の提案は、今後の下水道管理者のBCP計画策定において参考になるものと期待されます。



写真-1 採水・水質分析地点(クリックで拡大)


図-1〜図-4(クリックで拡大)



表-1(クリックで拡大)