平成25年度プレストレストコンクリート工学会賞論文部門受賞

塩害暴露試験によるコンクリートの塩分浸透性の評価

材料資源研究グループ(基礎材料)の渡辺上席研究員共著の論文が、下記のとおり平成25年度プレストレストコンクリート工学会賞論文部門を受賞しました。

論文名:塩害暴露試験によるコンクリートの塩分浸透性の評価
(会誌第54巻5号,55巻1号)
筆者:谷口秀明(1)、渡辺博志(2)、手塚正道(1)、藤田学(1)
     (1)(一社)プレストレスト・コンクリート建設業協会/
      (2) 独立行政法人土木研究所 材料資源研究グループ(基礎材料) 上席研究員
本賞は、プレストレストコンクリート工学会会員であって、プレストレストコンクリートに関する技術の進歩発展に顕著な貢献をしたと認められる者を対象とし、会誌「プレストレストコンクリート」(第54・55 巻1 号〜 6 号)、そのほか,平成24・25 年のプレストレストコンクリート工学会の各種刊行物に発表された研究論文,工事報告等から選ばれる。

概要:
 プレストレストコンクリート構造物の高性能化としては、自重を軽減し耐震性を向上させるとともに、耐久性も向上による構造物の長寿命化が主に求められているところである。すなわち、軽量化と高耐久化の両立である。
 本受賞論文は、土木研究所とPC建協の共同研究で実施した高耐久化に関する研究内容を総括して報告したものであり、厳しい塩害環境下にある信濃川下流事務所関屋出張所の敷地を借りて、長年にわたって実施してきた曝露試験の結果を報告したものである。
 本論文の受賞理由として、次の点が評価されたものと考えられる。
1)曝露試験として、10〜14年間の長期にわたって継続しており、耐久性の実証データとして信憑性が高い(例えば参考図−1)。
2)プレストレストコンクリート用の材料としては、国内ではほとんど実績のない高炉スラブ微粉末に着目し、早強セメントをベースにして高炉スラグ微粉末を混合した結合剤を用いることが耐久性向上に役立つことを示している(例えば参考図−2)。
3)単に曝露試験だけではなく、耐久性評価のための促進試験も実施し、促進試験の有効性について言及している(例えば参考図−3)。