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テストハンマーによる強度推定調査 FAQ集

質問7 「6つのポイント」では,ポイント5の強度推定方法の文中に、「国土交通省の調査では、呼び強度24程度の土木用コンクリートを主な対象としていることから、材料学会提案の換算式を使用し強度の推定を行うこととしています」とありますが,この推定式は,呼び強度40程度の比較的高強度のコンクリートには適さないのでしょうか?

回答:

 材料学会式が提案された当時(1958年)と現在では,コンクリートに使用されている材料(セメント,骨材,混和剤など)が異なっていると考えられます。この影響については必ずしも明確ではないのですが,特に高強度コンクリートや高流動コンクリートは近年開発された比較的新しい材料であり,材料学会の提案式を用いて強度の推定を行うことが妥当かどうかは明らかではありません。高強度コンクリートや高流動コンクリートの反発度を測定して材料学会式を用いた強度推定を実施すると,その実際の強度よりもかなり低く推定されるという調査結果もありますので,注意が必要です。

 なお,高強度のコンクリートが使用されるプレストレストコンクリート構造物は一般的な鉄筋コンクリート構造物よりも入念にコンクリートの品質管理が行われていることから,国土交通省ではプレストレストコンクリート構造物をテストハンマーによる強度推定調査の対象外としています。

参考文献:

1.
古賀裕久:テストハンマーによる強度推定調査について,土木技術資料(建設技術Q&A),Vol.44,No.11,p.14,2002.11
2.
濱尚史ほか:反発硬度法による高強度・高流動コンクリートの強度推定に関する実験,土木学会第56次学術講演会講演概要集,第5部,pp.858-859,2001

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