研究成果・技術情報

テストハンマーによる強度推定調査 FAQ集

質問8 「6つのポイント」は,新設構造物の初期点検時に用いる資料ですが,既存構造物の調査に用いることはできませんか?

回答:

 「6つのポイント」のうち,ポイント1〜3まではテストハンマーの基本的な取扱い方について説明を加えたものであり,新設・既設に関係なくご参照いただけます。しかし,材齢によってコンクリートの反発度と強度の関係が変化するおそれがあり(→質問5),ポイント4以降の強度推定方法で,材齢が特に大きい既存コンクリート構造物のコンクリート強度を推定することは難しいのが現状です。

 従って,既存コンクリート構造物に使用されているコンクリートの圧縮強度を正確に知る必要がある場合には,強度推定調査を行った箇所の一部でコア試料の採取などを行って,調査する構造物ごとに反発度と強度の関係を求めることなどを検討する必要があります。

参考資料:

表−2 土木研究所で実施した既存構造物の調査事例
構造物 部位 基準反発度 テストハンマー強度(N/mm2) コアの圧縮強度
(N/mm2
材齢係数補正前 材齢係数補正後
A橋
材齢30年
P2 63 62.0 39.1 60.1
64 63.3 39.9
P4 47 41.7 26.3 35.7
51 46.8 29.5
P26_a 62 60.7 38.3 57.1
60 58.2 36.7
P26_b 62 60.7 38.3 61.4
61 59.5 37.5
P28 59 56.9 35.9 46.5
56 53.1 33.5
B橋
材齢60年
P2 54 50.6 31.9 28.5
51 46.8 29.5
C橋
材齢35年
A1 45 39.2 24.7 14.9
40 32.8 20.7
G1_a 56 53.1 33.5 59.5
60 58.2 36.7
G1_b 60 58.2 36.7 66.9
60 58.2 36.7
D橋
材齢35年
P3 54 50.6 31.9 56.8
52 48.0 30.3

 

参考文献:

1.
国土交通省土木研究所:コンクリート構造物の鉄筋腐食診断技術に関する共同研究報告書,共同研究報告書,第269号,2001

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