研究成果・技術情報

平成26年度雪氷学会北信越支部「雪氷奨励賞」 受賞

フィールド観測を主体とした雪崩に関する積雪の研究

土砂管理研究グループ(雪崩・地すべり研究センター)の池田慎二専門究員が、
下記のとおり、平成26年度雪氷学会北信越支部「雪氷奨励賞」を受賞しました。


件名:フィールド観測を主体とした雪崩に関する積雪の研究
 「雪氷奨励賞」とは、雪氷学の研究に顕著な成果をあげ、今後の発展を奨励することが適当と考えられるものに贈られる賞です。

選定理由(雪氷北信越34号より転載):
 池田氏は一貫して雪崩の発生に関連した積雪の特性に関する研究を行っており、フィールド観測を重視している点が特徴である。中部山岳地は高標高のため地域的に観測が困難であるが、日本海側から内陸部にかけて雪崩をもたらす積雪の弱層に地域性がみられることを明らかにしている。また、雪崩が発生した直後に雪崩の破断面付近で調査観測を行うことで、特に人為的な要因で発生した雪崩の特徴として、他国と比較して降雪結晶の弱層が高頻度でみられることを示している。
 近年では低標高地における湿雪の観測にも取り組んでおり、積雪断面観測から水みちの形成状況が斜面と平地で異なり、斜面の方が積雪全層に対するざらめ雪層が占める割合が高くなることを明らかにしている。この結果を用いて、現在は平地の積雪観測結果を基に開発された従来の積雪モデルを斜面でも適用できるように改良を進めているところである。
 このほか研究成果の普及として、雪崩安全の啓発・教育活動や災害時の技術支援にも積極的に携わっており、一般市民の雪崩安全の向上にも直接的に貢献している。
 以上のとおり池田氏は雪氷学の研究に顕著な成果をあげており、今後の発展を奨励することが適当と考えられるため、雪氷奨励賞受賞候補者に選定した。