研究成果・技術情報

第16回国土技術開発賞入賞

「部分薄肉化PCL工法」

道路技術研究グループ(トンネルチーム)の開発した技術「部分薄肉化PCL工法」が、第16回国土技術開発賞に入賞いたしました。 同賞の表彰式が平成26年7月30日に東京国際フォーラムで行われ、本技術が表彰されました。
「国土技術開発賞」は、建設産業におけるハードな技術のみならず、ソフトな技術も含めた広範な新技術を対象として表彰するものであり、技術開発者に対する研究開発意欲の高揚並びに建設技術水準の向上を図ることを目的として行われております。


応募技術名称:部分薄肉化PCL工法
技術開発者:真下英人(1)、石村利明(2)、小高 武(3)
    (1)道路技術研究グループ グループ長(現 国土交通省国土技術政策総合研究所)/
      (2) 道路技術研究グループ トンネルチーム 総括主任研究員/
      (3) PCL協会
共同開発者:石川島建材工業(株)/ジオスター(株)/日本コンクリート工業(株)
     /日本サミコン(株)

1.技術の内容等
 本技術は、老朽化等で覆工が変状したトンネルを補強するために、プレキャストコンクリート覆工版CPCL版)を用いるライニング工法です。なかでも内空断面に余裕がなく、従来工法では補強後に建築限界が確保できない場合にも適用できることを目指し、部分的に薄肉構造としたプレキャストコンクリート覆工版を開発したものです。
 部分薄肉化PCL版は、超高強度繊維補強コンクリートを使用することで、薄肉部の厚さを通常部の約半分である75mm程度を実現し、建築限界が厳しいトンネルでも適用が可能になっています。また、実際の補強効果は、要素実験によって従来のPCL版と同等以上の耐荷力を持っていること、併せて打ち継部が欠陥とならないことを確認しています。さらに、実物大規模の載荷試験を行い、予め損傷させた覆工に部分薄肉化PCL版を設置した場合の耐荷力が、損傷していない覆工の1.93倍となり、十分な補強効果を持つことも確認しています。

2.技術適用の効果
 建築限界が厳しいトンネルに本工法を適用すれば、トンネルを盤下げ(路面高を下げ)せずに補強ができるので、一般的に用いられている場所打ちの内巻きコンクリー卜によるライニング工法に比べて4割程度の工期短縮や、コスト縮減も期待できることから、老朽化対策の促進に大きく貢献するものです。また、工期短縮により片側交互通行などの通行規制期間も最小限で済むため、社会経済活動や住民生活への支障も最小限に抑えることができます。

 図 部分薄肉化PCL工法の概要と用途