研究成果・技術情報

公益社団法人土木学会【平成26年環境賞(Ⅰグループ)受賞】

受賞名:「産業副産物である高炉スラグを極限まで結合材に使用した環境配慮コンクリートの開発」
受賞者:先端材料資源研究センター(iMaRRC)材料資源研究グループ 
  (※大成建設株式会社(共同研究実施中)と共同受賞)

環境賞(Ⅰグループ):環境の保全・創造に資する新技術開発や概念形成・理論構築等に貢献した先進的な土木工学的研究に授与する(※土木学会ホームページより転載)

 

背景

 材料資源研究グループでは,産業副産物である高炉スラグやフライアッシュなどの混和材を多量に混合した低炭素型のセメント結合材を用いたコンクリート構造物の 設計・施工方法を確立するため,大成建設株式会社および国内7機関との共同研究「低炭素型セメント結合材の利用技術に関する共同研究」を平成23年度から行っている。 大成建設株式会社とは,ポルトランドセメントを高炉スラグで置換した環境配慮コンクリートの検討を行っている。

 

受賞の理由

 本研究では,コンクリート製造に関わる主要な二酸化炭素排出源であるポルトランドセメントを,産業副産物である高炉スラグに置換した環境配慮型のコンクリートを開発し, 二酸化炭素の排出量を75%~80%抑制することを可能とした。高炉スラグの大量使用は,コンクリートの強度発現の遅延や表面脆化等の問題からこれまで困難であったが,新たに見出した 刺激剤を用いることによりこれらの課題を解決し,ポルトランドセメントの使用0を実現した。また,本コンクリートが,施工環境の厳しい暑中や寒中においても通常のコンクリートと 同様に施工できることを実証するとともに,強度の面でも汎用性を持つことを示している。加えて,高炉スラグの使用により塩化物イオンの侵入に対する抵抗性が高まり,通常のコンクリートの 数倍の延命が期待できるとともに,アルカリ骨材反応を抑制することにより,低品質な骨材を有効利用できることを確認している。
 高い技術力,独創性によって高炉スラグの使用にともなう課題を解決しており,コンクリート製造における二酸化炭素排出の削減に貢献することが期待される。 さらに,刺激剤を含む結合材中の廃棄物,副生産物の使用量が高まることにより,リデュース,リユース,リサイクルの推進に寄与すると考えられる。また,実験に基づく論文が多く 発表されており,高い信頼性が認められる。
 以上のことから,土木学会環境賞の授賞にふさわしいものと判断された。
(※土木学会資料より転載)

環境賞(Ⅰグループ)