研究成果・技術情報

公益社団法人「第11回 複合・合成構造の活用に関するシンポジウム」優秀講演者表彰

発表題目:「GFRPを接合したブラインドリベットの引抜挙動に関する検討」
発表者:先端材料資源研究センター(iMaRRC) 櫻庭浩樹(研究員)
共著者
   西崎 到(先端材料資源研究センター(iMaRRC) 上席研究員)
   宇佐美惣(構造物メンテナンス研究センター(CAESAR) 主任研究員)
   石田雅博(構造物メンテナンス研究センター(CAESAR) 上席研究員)

 

土木学会 複合構造委員会は、日本建築学会(鋼コンクリート合成構造運営委員会)と共催で、鋼とコンクリートによる複合・合成構造に限らず、 その他の材料による複合・合成構造に関する研究成果も含めた発表や情報交換の場として、「第11回 複合・合成構造の活用に関するシンポジウム」が 2015年11月5から6日の2日間開催されました。

このシンポジウムは、1986年の「第1回 合成構造の活用に関するシンポジウム」を緒とし、2007年(第7回)より、隔年で開催しており、 今回は、11回目の開催となります。
土木学会複合構造委員会では、40歳未満の講演者を対象として、研究内容に加えて講演内容が優れている場合に、表彰する制度を設けています。 受賞者は、後日、複合構造委員会のホームページに氏名を発表するとともに、表彰状を送付されます。

優秀講演者表彰状

目的

 ブラインドリベット接合は、GFRP製の構造物部材の接合方法として、一般にせん断に抵抗する機構(図1a))で用いられているが、 実構造物において引抜きに抵抗する機構(図1b))で用いられた事例もある。しかし、その挙動や特性は十分に解明されているとは言い難いのが現状であり、 台風の通過後、GFRP歩道橋の桁下面に設置されたGFRPパネル(図2)が落下した事例が確認されている。
本研究では、ブラインドリベットで接合されたGFRPパネルの信頼性の向上を目的とし、ブラインドリベットで接合されたGFRPパネルが桁下面に適用された GFRP歩道橋の外観調査とブラインドリベットの引抜試験を行った。

外観調査および引抜試験の結果

 外観調査では、近接目視によってブラインドリベットが引き抜かれた箇所を確認した(図3)。また,現地に設置されていたGFRPパネルを回収し、 回収したパネルのブラインドリベット接合部を用いて引抜試験用の試験体を作製した。引抜試験の結果、ブラインドリベット単体の引抜耐荷力を 取得できること(図4)およびその破壊形態はブラインドリベットの引抜けであることを示した(図5)。 次に、引抜試験で得られたブラインドリベットの引抜耐荷力を用いて、ブラインドリベット接合部に作用する死荷重および風荷重との比較を行い、 それらの荷重よりも引抜耐荷力の方が大きいことおよび死荷重に比べて風荷重の寄与が卓越していることを確認した(図6)。

GFRPを接合したブラインドリベットの引抜挙動1