研究成果・技術情報

「土木学会トンネル工学研究発表会優秀講演賞」受賞

受賞名:「土木学会トンネル工学研究発表会優秀講演賞」受賞
論文題目:山岳トンネルにおける覆工背面空洞の裏込め注入材の剛性と効果に関する一考察
受賞者:日下 敦(国立研究開発法人土木研究所 トンネルチーム 主任研究員)
著者:日下 敦
   岸田 展明(国立研究開発法人土木研究所 トンネルチーム 交流研究員
   (中電技術コンサルタント(株)))
   砂金 伸治(国立研究開発法人土木研究所 トンネルチーム 上席研究員)
   河田 皓介((株)オリエンタルコンサルタンツ(前トンネルチーム 専門研究員))
賞状
賞の概要:

受賞日:平成29年1月12日

贈賞組織名:公益社団法人土木学会 トンネル工学委員会

賞の情報:トンネル工学研究発表会において、簡潔明瞭で優れた講演を行った者に授与する

 

研究成果の概要:

山岳トンネルにおける覆工背面空洞は、地山条件等によっては構造上の弱点となる場合があり、その対策として裏込め注入を行うことがある。 裏込め注入材は種々のものが開発されているが、特に外力の作用が懸念される条件においては、裏込め注入により地盤反力を確保することが重要であると考えられる一方で、 裏込め注入材の剛性が対策工の効果に及ぼす影響について議論された事例は少ないのが現状である。本研究では、覆工の天端部付近に背面空洞が存在する山岳トンネルにおいて外力が作用する条件を想定し、 背面空洞に充填する裏込め注入材の弾性係数が、覆工の破壊時荷重に及ぼす影響について、覆工材料に非線形モデルを適用した数値解析により検討した。 その結果、外力対策として覆工背面空洞の裏込め注入を行う場合は、ある程度の剛性を有する裏込め注入材を用いることにより背面空洞の無い場合に近い値まで覆工の破壊時荷重を確保できる可能性があることや、 それらの効果の程度が背面空洞の規模によって変わると考えられることが明らかとなった。

 

覆工背面空洞の模式図

覆工背面空洞の模式図

数値解析モデルの概要

数値解析モデルの概要

覆工周辺のメッシュ

覆工周辺のメッシュ

覆工の天端部の圧縮破壊の一例(覆工の最大せん断ひずみコンター)

覆工の天端部の圧縮破壊の一例(覆工の最大せん断ひずみコンター)

覆工の破壊の概念図

覆工の破壊の概念図