研究成果・技術情報

「平成28年度水工学論文奨励賞」受賞

受賞名:「平成28年度水工学論文奨励賞」受賞
論文題目:メコン川下流域の洪水氾濫に対する観測結果を反映した河道条件の影響分析
受賞者:工藤 俊(国立研究開発法人土木研究所 水工研究グループ 水文チーム 研究員)
論文共著者:萬矢 敦啓 (国立研究開発法人土木研究所 水工研究グループ 水文チーム 主任研究員)
   E.D.P PERERA (国立研究開発法人土木研究所 水災害研究グループ(ICHARM) 専門研究員)
   小関 博司 (国立研究開発法人土木研究所 水災害研究グループ(ICHARM) 研究員)
   岩見 洋一 (国立研究開発法人土木研究所 水災害研究グループ(ICHARM) 上席研究員)
   中津川 誠 (室蘭工業大学大学院工学研究科 教授)
賞の概要:

受賞日:平成29年3月15日

贈賞組織名:土木学会水工学委員会

賞の情報:平成28年3月に開催された第60回水工学講演会において発表された論文に対して受賞

 

研究成果の概要:

 毎年洪水期に大規模な氾濫が発生するメコン川下流域を対象として、河道の縦断的な拡縮や流水抵抗変化が、流出氾濫シミュレーションの結果にどれほど影響を及ぼすか調べたものである。 最初にacoustic current Doppler profiler (aDcp)を用いて現地観測を実施し、川幅と水深の関係を整理し、現地の河道拡縮の状況を把握した上で、川幅から水深を推定する手法を検討した。 また、河床の小規模河床波に着目し、掃流力に応じた流水抵抗変化を分析した結果、洪水期に掃流力が大きくなるほど流水抵抗が減少する特殊な特徴を持つことが分かった。 上記の分析を踏まえ、河道の縦断的な拡縮と流水抵抗変化を降雨流出氾濫モデルに反映されてシミュレーションを実施した結果、これらを反映させない場合と比較して、 河道の流量及び氾濫原上の水深が大きく異なる箇所が存在することが明らかとなった。

 

aDcpを用いた観測例(縦断観測結果、図下部の黒太線が河床形状で、小規模河床波を捉えている)
aDcpを用いた観測例(縦断観測結果、図下部の黒太線が河床形状で、小規模河床波を捉えている)

河道流量に関する計算結果の比較例(ケース1:河道の拡縮なし、ケース2及び3:河道の拡縮あり)
河道流量に関する計算結果の比較例(ケース1:河道の拡縮なし、ケース2及び3:河道の拡縮あり)

氾濫水深に関する計算結果の比較例(ケース2:流水抵抗変化なし、ケース3:流水抵抗変化あり)
氾濫水深に関する計算結果の比較例(ケース2:流水抵抗変化なし、ケース3:流水抵抗変化あり)