研究成果・技術情報

「平成28年度 土木学会論文奨励賞」受賞

受賞名:「平成28年度 土木学会論文奨励賞」受賞
論文題目:圧密沈下が生じる軟弱地盤に用いる斜杭基礎の設計法の提案
受賞者:河野 哲也(国立研究開発法人土木研究所 CAESAR 橋梁構造研究グループ 主任研究員)
共著者:田中 宏征(一般社団法人鋼管杭・鋼矢板技術協会 技術総括委員)
    七澤 利明(国立研究開発法人土木研究所 CAESAR 橋梁構造研究グループ 上席研究員)
    中谷 昌一(国立研究開発法人土木研究所 CAESAR 橋梁構造研究グループ グループ長)
    現 京都大学経営管理大学院 特定教授
賞の概要:

受賞日:平成29年6月9日

贈賞組織名:公益社団法人 土木学会

賞の対象:土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究などに関する論文を発表し、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に寄与し、独創性と将来性に富むものと認められた若手研究者(受賞年の4月1日現在で満36歳未満)

 

研究成果の概要:

 斜杭基礎は水平抵抗力が大きいため、特に水平方向の地盤抵抗がほとんど得られない軟弱地盤において橋の建設コスト縮減に大きく寄与すると期待される。 しかし、軟弱地盤で生じる地盤の圧密沈下によって斜杭に作用する荷重の合理的な評価方法やこの荷重を考慮した地震時の部材設計法がなかったため、実務では斜杭が採用されることはほとんどなかった。 本論文は実験及び解析を行い、これらの結果に基づいて地盤の圧密沈下によって斜杭に作用する荷重の合理的な評価方法、圧密沈下による荷重が作用している斜杭基礎の地震時の部材設計法を提案するものである。
 本論文では、まず、斜角や圧密層厚、杭径など、地盤の圧密沈下によって斜杭に作用する荷重に影響すると考えられるパラメータを選定し、 これらを斜杭が使われると考えられる条件の中で網羅的に変化させた遠心実験により斜杭に作用する荷重を調べた。 次にこれらの実験結果及び既往の現地での計測結果を精度よく評価できる解析モデルを提案した。さらに、この解析モデルを用いてパラメトリック解析を行い、 実験や既往の計測及び解析の結果得られた荷重を簡便に評価できる荷重の推定式を提案した。 また、圧密沈下による荷重が作用している斜杭基礎と作用していない斜杭基礎に対する正負交番水平載荷実験、加振実験の結果、 圧密沈下による荷重は地震時に消散することを明らかにし,地震時の部材照査は不要であることを示した。