国立研究開発法人 土木研究所     水工研究グループ 水理チーム
TOP 研究内容 研究成果 チームメンバー 実験施設
English
 > 研究内容


水理チームでは以下の調査・研究を行っています。

1. 河川遡上津波を考慮した河道及び河川構造物の設計技術に関する研究
2. 土砂供給に伴う河川環境影響評価およびダムからの土砂供給技術の運用手法に関する研究
3. 吸引管を用いたダムからの土砂供給技術に関する研究
4. 気候変動による停滞性水域の熱・物質循環と水質環境への影響評価と適応策に関する研究
5. 土砂による河川構造物の摩耗・損傷対策および維持管理に関する研究
6. ダムの設置に伴う濁水による環境影響の軽減システムに関する基礎的研究
7. 現場事務所等からの受託業務




1. 河川遡上津波を考慮した河道及び河川構造物の設計技術に関する研究
  先の東日本大震災では、海岸部の被害だけでなく、河川を遡上・流下した津波(河川津波)によって、河川 構造物や沿川流域で甚大な被害が生じました。 「河川への遡上津波対策に関する緊急提言」(H23.8.22)で は、今後の河川管理で洪水・高潮だけでなく津波を計画的防御の対象として位置づける必要性があると指摘 しており、 また河川管理施設等構造令(H25.7.11改正)は、河川管理者が計画津波水位を定めるなど、津波 を新たに外力として加えることとしています。 しかしながら、河川を遡上する津波の水理学的メカニズムは必ずし も明らかになっているとは言えません。
  そこで本研究では、河川を遡上する津波の波高や波圧、波速などの水理学的諸元の変化を水理実験等で 明らかにするとともに、それらを考慮した河川構造物の設計技術に関して研究を行っています。


2. 土砂供給に伴う河川環境影響評価およびダムからの土砂供給技術の運用手法に関する研究
  国土形成計画(全国計画、地方計画)等において、山地から海岸までの一貫した総合的な土砂管理の推進等が謳われており、土砂管理を適切に行うことが求められています。 これらを実施するためには、流域から河川に流出する土砂の動態モニタリング技術やダムからの土砂供給に伴う土砂・水質の動態を予測する技術、さらにはこれらの土砂・水質が陸域や水域における 生物に及ぼす影響を予測・ 評価する技術が必要であり、これらの予測・評価結果に基づく土砂供給方法の選択や運用方法を設定する技術が必要です。
  そこで、本研究では土砂を各種の方法でダム下流に供給した場合の土砂動態の予測技術を構築するとともに、河床や水質が水生生物に対する影響・効果を評価して、 これら環境への効果と影響を考慮した最適な土砂供給技術についての検討を行います。


3. 吸引管を用いたダムからの土砂供給技術に関する研究
  ダムが土砂を捕捉することにより、下流の河床の粗粒化など河床環境への影響が懸念されており、ダムから土砂供給することが求められています。また、実用化されている技術(排砂設備や土砂バイパスなど)は、下流河川の水域のみならず陸域の環境に影響を与えるとともに、ダムの貯水池運用にも影響を与えることやコスト、労力、時間も多くかかっており、これらの影響を軽減して運用できる技術が確立されていません。
  本研究では、貯水池の落差エネルギーを活用し無動力でダム堆積土砂を吸引し、他技術と比べ低コストで運用可能な吸引管を用いたダムからの土砂管理技術を開発し、適切な量と質(粒径)の土砂を制御しつつ 下流河川の環境改善に必要とされる土砂を必要とされる河道区間に運搬する新たな土砂運搬システムを構築、実用化することで、ダム下流河川の環境の回復・維持や貯水池の長寿命化にも貢献していきます。


4. 気候変動による停滞性水域の熱・物質循環と水質環境への影響評価と適応策に関する研究
  気候変動に伴う地球温暖化が水環境に与える影響は、徐々に顕在化しており、大幅な温室効果ガス排出削減を直ちに行っても、 今後少なくとも20 年間は地球温暖化を伴う気候変動が進行すると予想されています。 このため、温暖化影響の緩和策とともに適応策の検討が重要であり、精度の高い影響予測に基づく適応策の評価と、その実施に向けた取り組みが必要となっています。
  そこで、本研究では、停滞性水域の水質環境における地球温暖化の影響予測の精度向上を図るとともに、気候変動に対応する適応策の効果と優先度を評価し、 実現可能な適応策を選定することを目的として、停滞性水域の熱・物質の流出や水域内挙動の長期的変動予測と、影響がある場合の適応策の検討を行います。


5. 土砂による河川構造物の摩耗・損傷対策および維持管理に関する研究
  貯水池の長寿命化やダム下流の河川環境保全の観点から、ダムから土砂を流す施設として排砂設備・土砂バイパス・流水型ダムの洪水吐き等が設置され、運用されるようになってきています。これらの施設は、砂礫が跳躍・転動・滑動しながら高速で流下することによる摩耗・損傷のリスクが高く、大規模な損傷が生じれば、使用不能となるなど致命的な影響が生じる可能性があります。
  そのため本研究では、土砂を流す施設及び土砂が流下する急流河川の床止め等の河川構造物の摩耗・損傷の実態の把握、土砂による摩耗・損傷の予測手法の検討、対策の設計手法、さらには運用後の維持管理の合理化について研究しています。


6. ダムの設置に伴う濁水による環境影響の軽減システムに関する基礎的研究
  ダムが設置されると、渇水による貯水位低下時や出水による上流域からの洪水の流入により長期的に貯水池が懸濁化し、水道取水障害、生物環境等に対して影響を与えています。
  このような影響に対して、河川管理者等は濁水対策として、濁度およびその継続時間を対処療法的に選択取水設備等により制御していますが、抜本的な対策として、ダム貯水池からダム下流河川での濁水を軽減する手法やその効果を明らかにすることが必要です。
  このため、ダム設置に伴う濁水による環境影響のさらなる軽減に資するシステムの構築に向け、システムを構成する個別要素技術(天然凝集材の活用、濁水流下予測手法など)について研究しています。


7. 現場事務所等からの受託研究および技術指導
  河川構造物は、ほぼ自然状態の地盤の上に建設される場合が多く、日常的な流水の作用に加え、出水時には極端に大きな力を受けることとなります。特に、構造物周辺に生じた地形変化は、構造物に作用する力を極端に変化させることもあり、単純な解析のみでは妥当な結果を得られない場合があります。さらに、社会システムとのかかわりの中で維持・管理されてきた施設も多く、総合的な視点からその解決策を検討することが求められています。
  国土交通省が建設・管理するような大きなダムでは、計画・設計・施工時の合理化によるコスト縮減効果は大きくなります。放流設備においても実績のある標準的な設計形状に囚われずに、各ダム固有の条件下でより合理的な放流設備を、その効果と安全性を確認しながら計画・設計することが求められています。また、堆砂対策や放流音対策についても個別ダムにおいて検討が求められています。
  上記のような課題について、現場事務所等からの要請により受託研究および技術指導を実施しています。


国立研究開発法人 土木研究所
水工研究グループ 水理チーム

〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6
Tel 029-879-6783 / 029-879-0867(水理実験施設)
Fax 029-879-6737
e-mail:damsuiri★pwri.go.jp(★を@に置き換えてください。)
Copyright (C) 2016 国立研究開発法人 土木研究所