物理探査・土木技術に関する情報を提供します.

舗装および橋梁床版の物理モデルに対するGPR探査

社会資本の急速な老朽化時代に入り,非破壊検査技術によるインフラの予防保全的な維持管理が重要となっています. 特に効率的な探査が可能である地中レーダ(GPR)は広く活用が期待されています. 舗装や橋梁床版内部の損傷,劣化状況,空洞規模をGPRによってどの程度把握できるかを検証する手段として,数値計算(FDTD)による理論的な検討方法や,現場での調査事例を蓄積していく方法等がありますが,実物スケールの物理モデル(模型)を用いた検討方法がより直接的です. そこで,図1に示すようなコンクリート床版,舗装の物理モデルを用いて,GPRの測定解析を実施し,GPRによってどの程度検出できるかを再整理しました. これには土研で新たに導入した中心周波数800MHzの高周波GPRを用い,図2の測線配置により面的なイメージングを行いました.


図1 舗装及び橋梁床版の物理モデル

図2 GPR測線配置

取得波形に対して,背景除去処理を施し,さらに振幅エンベロープを計算して面的に投影した場合と,標準舗装箇所の波形との相互相関係数をマッピングした場合の2通りのデータ処理を行いました. その結果,劣化モデルについてはシグナルが微弱であり,劣化の有無の判断が困難でしたが,空洞や埋設金属については,面的な分布をイメージすることができました. 検出が困難であった劣化モデルには,電動ピックで破砕したコンクリートやアスファルトが用いられていましたが,実際の劣化を表現するものとして適切かどうかも含め,検出能の向上のための方策をさらに検討していく予定です.



図3 背景除去後のエンベロープの投影図
(上)マイグレーションなし
(下)マイグレーションあり


図4 標準舗装箇所との相互相関係数分布
(上)マイグレーションなし
(下)マイグレーションあり

なお本GPR探査にあたって,(株)土木管理総合試験所が保有する舗装床版モデルをお借りしました. 記して謝意を表する次第です.