物理探査・土木技術に関する情報を提供します.

廃道トンネル坑内での物理探査

廃道になった区間内にあるトンネルを利用して,走行路面下の物性構造を把握する浅部物理探査の適用性を検討することを目的として現地探査を実施しました.なおこの廃道トンネルでは寒地土木研究所防災地質チームがボーリング調査,中規模弾性波探査などの現地調査を精力的に実施してきていました(岡崎ほか,2016など).当担当では,より浅部,路面から20m程度までの地山の状態とインバート工等の施工による物性の変化を捉えることを目的とし,オームマッパーを用いた電気探査を2014年12月に,ランドストリーマー表面波探査を2015年7月に実施しました(稲崎ほか,2016).トンネル基面は通常コンクリート舗装が敷設されており,さらにインバートも鉄筋が配筋されています.このためこれらの構造体が電気の良導体となり,電気探査では下位の地山の構造を捉えられない可能性がありました.


写真-1 トンネル坑口あかり部でのオームマッパー探査風景

写真-2 トンネル坑口付近でのランドストリーマー表面波探査風景

探査解析の結果,特徴的な構造を示す断面を得ることができました.解析断面は防災地質チームによる選考調査結果と調和的であり,また路面の損傷状況や,補修区間の物性変化をよく反映していることがわかりました.従来のトンネル坑内での点検調査は,覆工や天井板を対象として実施されてきましたが,本調査の結果は,浅部物理探査によって,トンネル走行路面下の物性状況.インバート等の補助工の位置と健全度を推定可能であることを検証するものでした.


図-1 トンネル路面下統合物理探査断面. 上:S波速度構造断面,下:比抵抗断面.補修区間が高S波速度,低比抵抗帯として明瞭に識別できる.


図-2 比抵抗と路面状況の関係.上:比抵抗断面,中:路面状況図,下:見掛け比抵抗分布.亀裂多発部では鉄筋が露出し,見掛け比抵抗が極めて小さな値を示す.またインバート施工区間(1-4)でも相対的に比抵抗が小さい値を示す.