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豪雨によって盛土崩壊が発生した道路高盛土箇所で詳細物理探査(第2次)を実施

地震と豪雨によって盛土の一部が崩壊した自動車専用道路の高盛土区間において,盛土崩壊の実態とメカニズムの究明を目的とした詳細な浅部物理探査を実施してきています.
第二次調査では,測定範囲を広げ,東側農業用ハウス周辺に縦断測線を設定し,ハイブリッド表面波探査,高速電気探査,GPR探査,および土壌水分測定を実施しました.また天端路面部では高周波表面波探査とGPR探査を再実施しました.


写真-1 縦断測線配置図(第1次,第2次)


写真-2 天端高周波表面波探査測線配置図

縦断測線のS波速度構造断面を図-1に示します.まず,自然地盤の表層部が極めて軟弱で,S波速度が30m/s以下の値を示す部分も認められました.これまでも干満差の大きい感潮域干潟ではこのような低S波速度を有する表層が分布することが知られていましたが,陸化(埋立て)した地域でも同様な低S波速度の軟弱層が分布することがわかりました.


図-1 縦断測線S波速度構造比較

図-1からは,表層の低S波速度層がすべり崩壊体に近づくほど厚く,そして値も小さくなることがわかります.盛土崩壊に伴い,地盤のS波速度が低下したことを強く示唆しています.変状の発生しなかった西側に設定O1測線では,表層部のS波速度は相対的に高い値を示すことがわかります.

図-2は,加速度センサ例を用いた高周波表面波探査から推定した表層2mまでのS波速度構造と,ほぼ同じ測線のGPR断面とを比較したものです.まずGPR断面では厚さ15cmのアスコン層(HMAと略記)と下位の路盤層(上下層合計23cm)境界面が鮮明に捉えられています.アスコン層の層厚は左側端部の路肩部では設計値10cmになりますが,その違いもわかります.路盤層内には数枚の境界面が認められますが下方のものほど起伏が大きくなっています.また路面に出現していた亀裂(赤矢印)の直下で,上下にずれています.表層クラックが,少なくとも深さ1m程度までは進展していることを示唆するものです.一方S波速度断面にも,2条の亀裂に挟まれた部分が相対的に低速度になっていることがわかります.またゼブラゾーン右側の車線部より,左側車線部の路床・盛土のS波速度が低いこともわかりました.今後他の測線のデータも解析し,舗装の不均質構造の把握と成因について検討を進める予定です.


図-2 天端路面横断T_02測線のS波速度構造断面(上)とGPR探査断面(Seg_202)の比較