物理探査・土木技術に関する情報を提供します.

堤防開削部での物理探査その2

4月26日,5月12日,13日に長野県小布施市と須坂市の境界を流れる千曲川の右岸堤防を調査しました.この地域には東から流れる松川が千曲川に合流部に位置して,歴史時代に千曲川から分流したと考えられる流路跡が多くみられます.今回の調査では,千曲川と松川の合流点の少し南側で,樋門工事のために堤防を横断して切り出された地質断面(上流側と下流側の2箇所)を観察しました.

調査位置図
調査位置(国土地理院発行治水地形分類図(中野西部)を使用)

上流側の堤防は泥質な堆積物と砂礫を母材とする構成物からなり,2段階の過程を経て建造されていることが確認できました.一方下流側の堤防は主に砂礫で構成され,1段階の過程で建造されていることが判明しました.また,これらの堤防の基盤には,河川流路堆積物の上に氾濫原堆積物がほぼ水平な境界面を介して分布しています.これらの観察結果から,調査地点付近の堤防は周辺の河川堆積物を使って建造されており,局所的にかなり透水性の高い地層で構成されていることがわかりました.このように河川堤防の母材は周辺の地形・地質から,高い確率で予測できることがわかります.つまり,地形や地質・歴史記録などを用いて総合的に調査をおこなうことで,浸透破壊などの危険性の高い堤防が分布する地点をある程度抽出できる,ということになります.

上流側開削断面図と写真
上流側(南)開削断面
下流側開削断面図と写真
下流側(北)開削断面