物理探査・土木技術に関する情報を提供します.

関屋分水路護岸で統合物理探査を実施

2007年9月末に信濃川下流関屋分水路において,コンクリート護岸背面に空洞が形成されている可能性を探るのに有効な物理探査手法を選定するための現地探査を実施しました.調査対象は昭和40年代に施工された関屋分水路の河口部に位置するコンクリート護岸です.当該地域は,冬季になると日本海の荒波が打ち寄せるため護岸構造物が傷みやすく,頻繁に改修が施されてきました.
適用した物理探査手法は地中レーダ(GPR)探査,打音調査,および高周波加速度アレイ計測の三種類です.

地中レーダ探査では,高周波(1GHz)の電磁波を地中に放射し,反射してきた信号から空洞の有無や地層境界を判別します.一般的に空洞があると強い反射波が観測されます.

GPR探査風景の写真
GPR探査風景.小型で高周波出力の装置を用い,コンクリート床板背面の空洞の有無を調べます.

打音調査は,コンクリートの表面をハンマーで打撃した際に発生する衝撃音の波形の特徴から空洞の有無を判定します.各周波数成分の時間変動が重要な鍵となるので「ウェーブレット解析」という特殊な解析法を適用しました.

打音調査風景の写真
打音調査風景.平張コンクリートの表面をハンマーで打撃し,ディジタル収録した衝撃音を波形解析して背面の空洞を検出します.

高周波アレイ計測は,コンクリート中を伝播する衝撃弾性波を,加速度センサアレイとマルチチャンネル計測装置とを用いて計測するものです.単点での打音調査ではわからないクラックなどの不連続面を検出することができます.

高周波加速度アレイ計測の写真
高周波加速度アレイ計測.平張コンクリートの表面をハンマーで打撃し,その衝撃弾性波の伝播状況を評価してクラックの規模・背面空洞の有無を評価します.

打音をウェーブレット解析した予察的な解析結果を下図に示します.上下流方向に8m,横断方向に1.8mの領域に20cm間隔で410点の格子点を設定し,各点の周波数−時間スペクトルの特徴を評点化しました.暖色系かつ大きな丸をつけた格子点では低周波数成分の残響が継続し,背面空洞存在の可能性が高いことを示しています.

打音ウェーブレット解析評価事例の図
打音ウェーブレット解析評価事例.20cm間隔の格子点での打音調査データをウェーブレット解析し,空洞存在の可能性を評点化しました.