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黒部川堤防で牽引型比抵抗探査を実施

2007年11月下旬に,富山県東部の黒部川の右岸堤防で牽引型比抵抗探査を実施しました.調査区間では黒部川河川事務所によってランドストリーマー型表面波探査が実施されており,今回の探査は,両手法の解析結果を統合することで,堤体および基礎地盤の異常部を効率的に検出し,今後の詳細点検に資することを目的としました.

吹雪の中での計測風景
吹雪の中での計測風景.計測ツールを牽引しながら連続的に比抵抗を計測します.

現地はすでに冬季に入り,天候が目まぐるしく変化するなかでの調査となりました.以下に探査結果の一部を紹介します.図上に示す比抵抗探査断面では,堤体部が数1000Ω-mと極めて高い比抵抗値を示すことが特徴的です.一方同図下のS波速度断面では,堤体部の値は200m/s程度であり,締固めが充分ではない粗粒材料で堤体が構築されていることが推定されました.

統合物理探査解析断面
統合物理探査解析断面.比抵抗断面(上)とS波速度断面(下)の比較.
稀な晴天下での計測風景
稀な晴天下での計測風景.バックは後立山連峰.

なお黒部川扇状地では冬季に地下水位が大幅に低下することが知られています.比抵抗探査断面では堤防天端より15mの深さで比抵抗値が急に低下しており,この深さが地下水位と推定することができます.

今後さらに追加調査を実施するとともに両手法の探査結果の解析を進め,当該堤防の質的整備と安全性向上に活用する予定です.