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荒川堤防で詳細地質調査を実施

2007年9月初旬に日本列島を縦断した台風9号は,東日本の各地に被害の爪痕を残しました.この台風通過に伴う増水によって,荒川堤防の一部区間でも漏水などの変状が発生しました.その変状発生区間において,変状と堤体や基礎地盤の不均質構造との関連性の有無を明らかにすることを目的とした現地詳細地質調査をしました.この現地調査は,河川管理事務所の協力の下に土木研究所地質チーム,産業技術総合研究所地質調査総合センターと合同で実施したものです.

堤防横断方向簡易貫入試験結果
堤防横断方向簡易貫入試験結果.土研式貫入試験機を用い,堤体の表層部5m程度までの地盤構造と土質を推定します.(拡大)

堤防横断測線の簡易貫入試験結果を右図に示します.堤体の表層約2m程度が全般的に低い値をとることが示されています.かさ上げ以前の古い堤体との境界が見えている可能性があります.

堤防縦断方向比抵抗検層結果
堤防縦断方向比抵抗検層結果.変状が集中的に発生した堤体川裏側法尻部約50m区間の断面.(拡大)

この図は,変状が発生した川裏側堤防法尻部約50mの区間で実施した比抵抗検層の結果です.深さ1.3m付近にほぼ水平につながる高比抵抗ゾーンが出現しています.それより下部と上部とを比べると,上部のほうで比抵抗分布の変化が大きいことから,変状の影響が地表部に局在していると推定することができます.

今後さらに追加調査を実施するとともに調査成果の総合的な検討を進め,調査対象堤防の変状原因の解明と効果的な対策工の選定に活用する予定です.

簡易貫入試験孔を利用した高密度比抵抗検層
簡易貫入試験孔を利用した高密度比抵抗検層.電極アレイプローブを簡易貫入試験孔に挿入し,2cm間隔で比抵抗を測定します.
産総研による地中レーダー探査風景
産総研による地中レーダー探査風景.変状発生区間の表層地質構造を3次元でイメージングします.