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生物が棲みやすい根固め工の材質とは?

 堤防や橋脚の周囲では、河床の洗掘を防ぐため河床に根固め工と呼ばれるコンクリートブロックが設置されることがあります。この根固め工は、横断的に河床を広く覆うこともあり、河床に棲む生き物(底生動物:貝や水生昆虫など)にとっては、大きな生息場改変となる。また、コンクリートブロックは表面が平滑なため、石や砂が混じる複雑な形状の自然河床に適応してきた底生動物にとっては、棲みづらい環境となることが予想されます。


 一方で、平滑なコンクリート以外にも様々な材質が開発され始めています。例えば、空隙を含んだポーラスと呼ばれるブロックや、自然石をコンクリート基質に埋め込んだブロックなどがあります。これらのブロックは平滑ブロックと比べて、複雑性に富んでおり、生物の棲家としてよりよい環境を提供できる可能性があります。


 そこで、本研究では、3つの異なる材質のブロック( 平滑、自然石埋め込み、ポーラス)を用いて、実験的に底生動物と藻類を定着させ、根固めブロックの生物の生息場としての機能を検証します。


※本研究は現在進行中であり、結果が揃い次第、随時更新を行います。



末吉 正尚

(国研)土木研究所 自然共生研究センター