土木研究所自然共生研究センターでは、多自然川づくりを支援する様々な技術開発を行っています。近年は、景観・人の利用の観点から、川の空間デザイン手法の研究にも力を入れ、平成23年度から公益社団法人全国土木コンクリートブロック協会(以下「ブロック協会」という。)との共同研究を開始し、水域と陸域の接点となる「水辺」を対象とした工法開発に着手しています。また、中長期プロジェクト「治水と環境が両立した持続可能な河道管理技術」では、土研河川生態チームと共に上記視点に立った空間デザイン手法の検討を進めています。シンポジウム「魅力ある水辺空間の再生を目指して!」(共催:ブロック協会、後援:国土交通省)では、以上を背景とし、研究成果の報告、関係者間での水辺空間デザインに関する知見の共有・今後の技術開発の方向性の確認を行い、その結果を、これからの研究に反映することを目的としました。
当日は、経験豊かな水辺空間のデザイナーが集結したこともあり、参加者は270名を数え、会場は熱気に満ちた雰囲気に包まれました。短い時間でしたが、共同研究で実施した護岸改良ポイントをアピールできただけでなく、高い専門性を有する学術者・技術者から研究成果に対する評価を受けることができました。また、本省・実務者・研究者との間で水辺空間の今後のあり方、技術論に関する認識の共有が進み、我々が実施している研究の方向性への確信を深めることができました。
研究の方向性が社会のニーズと整合しているかを見極めることも大切ですが、土研は新しい社会を創造する、すなわち、ニーズそのものを創り出す役割も担っています。このためには、研究の節目において、公開の場で広く関係者と議論し、高いイニシアティブを発揮しながら、今後の方向性を明確にし、関係者間で共有することが大切です。今後も同様のシンポジウムを継続して企画し、豊かな水辺空間の創出に貢献して行きたいと考えています。
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