実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

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川と共に
米国における河川の自然環境の復元とその現状

 平成12年10月より1年間米国に滞在する機会に恵まれました。ドイツやオーストリアにおける河川の自然復元の情報は日本に入ってくるようですが、米国の実態はなかなか聞こえてこないのが実情です。そこで、私が滞在中に見て廻った復元事例を一つご紹介します。
 紹介するのはサクラメント川本川で氾濫原(出水時に冠水するような場所)の復元を対象とした事例です。米国でも広範に活動しているNPO、The Nature Conservancy(ネイチャー・コンサーバンシー)が母体となり実施している延長228マイルにも及ぶ広大な事業です。氾濫原の土地の購入、氾濫原に依存する樹木の植栽といった単純な手法と、低水路の移動を許容し侵食と堆積によって維持されている氾濫原の動的システムの復元も試みていました。これは過去100年間に移動した低水路の範囲と今後50年に移動すると見込まれる低水路の範囲の双方を包含するゾーンを、Inner River Zone(インナーリバーゾーン)と定義し、このゾーン内に生育する河畔林を、侵食による生育地の破壊と堆積による生育地の再生によりバランスさせる、すなわちサクラメント川の河畔林の維持に必要な動的システムを保全しようとするものです。
 それほど河床勾配が大きくありませんから、生育地の再生から破壊に至る時間は非常に長いと考えられます。たぶん、数十年はかかるのではないでしょうか。つまり、評価にはこの程度の年月が必要なわけですから、かなり気の長い事業と言えます。
 日本でも近年扇状地河川における河原の動的システムが破壊され、河原と河原固有の動植物の減少が報告されています。扇状地河川は河床勾配が大きく、河原の再生から破壊に至る時間は相対的に短いという違いはありますが、今後動的システムの復元を考える際には大いに参考になる事例だと思いました。サクラメントから車で2時間程度ですから機会があったら皆さんも是非訪問してみてください。

萱場祐一
(独)土木研究所 自然共生研究センター 












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