実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

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川底の石の表面の状態は流況のバロメーター(付着藻類編)

 川底の石の表面の状態は、水質や流況(流量の状況)等を反映しています。ここでは流況との関係についてみてみましょう。
 比較的大きな出水の後、川底を覗いてみると、石の表面にはほとんど付着物がない状態がみられます。これは、出水によって川底の石が転がり、川底が攪乱されたことを示しています。このような攪乱は、河川の生物や自浄作用と密接に係わる等、河川生態系の維持に重要な役割を果たしています。
 しばらくすると、石の表面には、ぬるぬるとした付着藻類を主体とした膜が形成されます。この膜は、アユをはじめとする多くの魚類や底生動物の餌として利用されます。春から秋、比較的流れの速い川底には多くのアユのはみ跡(口で藻類を擦りとった跡)が見られます。アユはシルト等の細かい土粒子の含有が少ない比較的薄い膜を好むようです。
 しかし、安定した流量が長期間継続すると、植物が草本から木本に遷移するように、付着藻類も珪藻や藍藻が優占する群落から、カワシオグサやアオミドロなどの糸状の緑藻が優占する群落へと遷移し、石の表面を覆うようになります。このような状態は、魚類の餌としても、生息空間としても良好な状態であるとは言えません。また、水際など流れが遅いところでは、川底にシルト等が沈降・堆積したり、藻類が大量に生育する等、景観も損なわれます。
 一方、川底の石は、多くの魚類の産卵床としても利用されます。木曽川の支川、新境川の瀬では、5月にはニゴイ、11月にはアユが産卵する様子が観察されます。魚類の産卵床としても出水によって攪乱された石は、細菌、バクテリアやシルト分等の付着物が少ないため、卵を粘着させる基物として適しており、孵化率の向上にも寄与しているようです。
 近年、流量制御等による川底の攪乱頻度の減少が指摘されています。このため各地で、ダムから一次的に放流量を増加させる試みや、土砂を投入し、川底の攪乱を促進させようという取り組みが行われ、改善の効果やその手法が検討されています。

皆川朋子
(独)土木研究所 自然共生研究センター




アユのはみあと


出水後、きれいになった石に付着したアユの卵。



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