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ハビタットを評価するテクニックHEP(ヘップ)

 近年、開発を行う際の生態系への影響把握を義務付けた環境影響評価法が制定され、河川改修や流量制御などが生態系に及ぼす影響を評価することが求められています。ハビタット(生息場)の評価は、こうしたアプローチのひとつとして最近注目されています。では、どのように評価していったら良いのでしょうか。アメリカ合衆国で実用されているHEPという手法を紹介しながら考えてみましょう。
 HEP(Habitat Evaluation Procedures(U.S. Fish and Wildlife Service 1976))は、生物が利用する生息場の適性をHSI(Habitat Suitability Index)指標を用いて表現し、生息場の「空間」および「時間」的広がりに応じてHSIを積算することである時点、ある空間における生息場を評価する手法です。HSIは環境要因と対象生物の特性から決まるSI(Suitability Index:0〜1)を掛け合わせたり、平均したりすることで見積もられます。これまでの知見や専門家の意見などを反映できる仕組みとなっており、事業を実施した場合の評価値の減少、代償措置を実施した場合の代替生息場における評価値の増加などを定量的に予測できるため、アメリカでは事業実施に関わる意思決定の判断材料として利用されています。このようにHEPは明解なコンセプトに基づいた汎用性の高いものであり、最近、日本でもその導入が検討されています。
 万能に見えるHEPですが、いくつか問題点も指摘されています。対象種の生息場を評価できると言われていますが、実際には、・対象とする種の生活史上の1ステージ(例えば、仔魚、稚魚、成魚などの成長段階)しか取り扱えないこと、・推奨案はあるが環境要因の選定、SI値の決定方法は利用者に依ること、・他の生物(餌、捕食者や競争相手)による影響(生物間相互作用)を考慮していないことなどです。
 今後、HEPなどの評価モデルの活用にあたっては、長所・短所を踏まえたモデルの特徴を十分に理解することが重要です。今回の特集記事を始めとして、問題点の解決に繋がるような基礎・応用の両面からの研究成果が求められていると言えるでしょう。

田代 喬
(独)土木研究所 自然共生研究センター




水際と陸域の境界領域(エコトーン)に集まる稚魚もハビタットの評価が難しい生物のひとつです。(2004年8月 岐阜県垂井町を流れる相川にて)



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