実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

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川底の小さな仲間たち

 川底に生息する水生昆虫などの底生動物の中にも付着藻類を餌として利用している仲間がいます。底生動物は魚類に比べれば小さく目立たない生物ですが、水中めがねを使って川底を覗いてみると、彼らの暮らし方はとても多様で面白いことがわかります。すばやく動き、石の裏に隠れようとするカゲロウの仲間、巣をかついでのたのた歩いたり這ったりしているトビケラや巻貝の仲間、石に膜をぴったり貼って引きこもっているハエの仲間など・・・多様な生活型を持つ彼らは、それぞれに個性的な方法で付着藻類を摂食しています。一見したところ、その小さい体サイズからは、付着藻類に強く影響しているとは思えません。しかし、底生動物の付着藻類への摂食圧は相当に大きいものです。最近の研究からは、底生動物の実際の行動範囲である微生息場所スケール(0.02m2程度)と同様、リーチスケールという大きい空間(50m2程度)においても、底生動物が付着藻類に与える摂食圧が顕著にみられること、さらに、底生動物の密度に依存した摂食圧は、微生息場所スケールよりもリーチスケールの方がより強くなることが示されたのです。底生動物の実際の行動範囲から、微生息場所スケールは1種の底生動物の摂食圧を、リーチスケールはより多種の底生動物(ただし総密度は前者と等しい)の摂食圧を示していると考えられます。よって、1種類の底生動物がワンパターンに摂食する場合よりも、生活型が様々な複数種の底生動物が摂食する方が、付着藻類をより減少させ、その遷移を妨げることを、先述の研究は表しているのです。野外河川において、実験的に底生動物の現存量を下げると、川底は付着藻類にべったりと覆われ、とても汚らしくなります。私達が立ち寄りたくなるような綺麗な川を維持するためには、多様な底生動物が河川に生息していることが重要なのです。

片野 泉
(独)土木研究所 自然共生研究センター




礫上の付着藻類マットSEM像
左:摂食前 右:摂食後
※(黄色のバーは100μm)




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