多自然型川づくりの観点から植生が河道の流れに及ぼす影響の把握と水理計算、手法の評価・改善を目的として研究を行っています。
開所以来十数回の洪水実験を行い収集したデータのうち、四季を通して水位について比較しました。最初の洪水実験時を実施した冬期及び春期においては、河道内の植物の生育がほとんどないため各断面での水位差はありませんでした。夏期になり植物が生育した状態での洪水実験時には、その植生の影響によって上中流部ではかなりの水位上昇が確認されました。また下流部においては、植生の生育していないときよりも水位が上昇せず、ワンド部などの地形による影響の他に、植生の繁茂に伴う貯留の流出の影響により平常時の水位に戻るまでにかなりの時間を要しました。秋期になると夏期より水位上昇は低くなるとともに、貯留の流出時間も短くなりました。このように植生の生育状況が河川へ大きく影響することが実際に確認されました。
担当 : 戸谷 三知郎
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