実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

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Q 大型コンクリートブロックにおける
景観上の配慮のポイントは何ですか?


A 見かけの大きさを緩和するために、
石の模様を描かないことが大切です。


● 背景と目的

 大型のコンクリートブロック(例えば、縦50cm×横100cm、縦100cm×横200cm)は素材が大きいため、ブロックに石積みを模した模様を付けて素材を小さく見せる試みが行われてきました(写真1)。しかし、方形の構造を持つ目地の中に丸みを帯びた模様を描くと、奇異な印象を与えるため、自然共生研究センターで設置した検討会においても、「この工夫には課題があり、具体的な配慮の方法を提案すべき」との意見をいただきました。そこで、自然共生研究センターでは、公益社団法人全国コンクリートブロック協会(以下、全協)と共同で、配慮の方法について議論を重ね、実際のブロックを改良・試作を行いましたので報告します。

● 方法

  河川景観に着目した既往の調査、研究、実験結果、共同研究の成果の既往の知見に加え、河川景観に関する専門家に対するヒアリング、「護岸ブロックの性能評価手法に関する委員会」における議論の結果を踏まえ、護岸の景観にとって必要な要素を抽出しました。この中で、上述した大型コンクリートブロック特有の課題も整理しました。次に、既存の護岸ブロックの改善の方向性について全協と議論を重ねながら、既存の護岸ブロックの改良版を試作し、これを自然共生研究センターに展示しました。

● 結果と考察

 ブロック1 個1 個の視覚が過度に大きすぎると大味で親しみにくい印象を与えます。例えば、対象の物理的な大きさS、対象までの距離dとし、見えの大きさ(視覚θ)を定義した場合(図1)、視覚θが2°以上になると、素材が大き過ぎると感じるようになります( 図2 )。また、方形の規則的なブロック目地の中に、丸みを帯びた石のように異なる模様が繰り返し出現すると、見かけ上の素材の大きさは緩和されるものの、人工的な印象が強調されます(写真1,写真2(左))。そこで、本試作では、小型の方形の模様を繰り返すことにより大型ブロックを見かけ上分割し、また、小型の方形のサイズを少しずつ変化させることにより、人工的な印象の緩和を試みました。
 改善前と改善後のブロックを比べて見ると、改善後は見かけの大きさが緩和されているだけでなく、従前の石積みを模倣したかのような人工的な印象が消失しています(写真2)。共生センターでは、ここで紹介した大型ブロックに加えて小型ブロックについても改良を加え、展示を行っています。 詳細はHPをご覧ください。
(URL:http://www.pwri.go.jp/team/kyousei/jpn/about
/m2_02_KW/KW_link/05_cyusyokasen_gogan/gogan_01.htm)


担当:手代木 賢治
       
図1 視覚の概念
図2 距離d と視覚の大きさθの関係
写真1 規則的な目地(赤)、異なる模様(青)
写真2 比較して展示を行ったブロック


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