土木研究所・流域スケールの水循環と物質循環に関する研究情報サイト

水循環系健全化のための研究

研究の目的・背景
 都市河川流域において顕在化してきた都市型水害、河川水質・生態系の悪化、平常時の河川流量の減少などの様々な問題は、流域の急激な変化が水循環系にもたらした影響の現れです。個々の問題は水循環系をとおして密接に関連しあっているので、このような問題の解決策を見いだすためには、問題を個別に取り扱って対策を考えるのではなく、流域の水循環系全体で定量的に考える必要があります。そして、そのためには水循環健全化のための各種対策の効果を的確に評価するための技術開発が求められています。
 水循環のモニタリングとモデリングは、科学に基づく信頼性の高い水循環の評価を行うために必要な実務上の重要な判断材料です。水循環のモニタリングとモデリングは、流域の特性に応じた水循環の現象を理解するのに役立つばかりでなく、将来の流域の変化が水循環にもたらす影響を予測し、水資源の有効利用、水質・生態系の保全や改善、洪水被害の軽減といった流域全体に関わる課題に取り組むための様々な情報を提供してくれます。国土交通省と地方自治体では1996年より、全国の6河川流域(東京都善福寺川、埼玉県東川、神奈川県和泉川、神奈川県平戸永谷川、千葉県海老川、奈良県菩提川)において水循環のモニタリングとモデリングを行っており、各流域における水循環再生構想の策定においても重要な役割を果たしてきています。

 谷田川流域は第7番目のモデル流域として、平成11年度より土木研究所がモニタリングに着手し、観測体制を順次拡張しながら進めています。谷田川は茨城県つくば市等を流れる一級河川利根川の支川で、当流域内では平成17年の常磐新線開通に伴い、大規模な開発が予定されています。谷田川流域の水循環に関する研究の目的は、沿線の開発に伴う流域条件の変化が水循環に及ぼす影響をモニタリングとモデリングの双方から明らかにし、谷田川流域とその排水先となる牛久沼の水環境保全に効果的な対策を明らかにすることにあります。また、谷田川流域は、開発の影響を長期的に追跡できる絶好の試験流域としても位置づけられることから、本研究を通じて流域内の水文・気象等に関する様々なデータを蓄積することも重要です。
 このような目的のもと、平成11年度より、河川内の流量、水質の動態のみならず、流域全体における水・物質循環の実態を把握する研究活動の一環として、地下水の実態調査を実施してきました。

 このホームページにおいては、平成11年から12年にかけて実施した地下水調査の結果と谷田川流域の水循環解析を行うために収集・整理した各種の流域データについて紹介するとともに、分布型物理モデルを用いた水循環解析の結果について報告し、解析に使用したモデル及び観測データの公開を行います。
 
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土木研究所 水理水文チーム