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河川堤防基礎地盤の原位置パイピング試験方法
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河川堤防基礎地盤の原位置パイピング試験方法
技術開発の背景
豪雨時の河川被災の重大な事象である破堤の原因として、越水、堤体浸食、堤体浸透などの堤体の損傷に起因したもののほか、堤体基礎地盤の浸透・パイピングによる堤体の沈下・陥没があります。

 河川堤防の浸透安全性の評価においては、堤防のり尻部の局所動水勾配値に着目し、土粒子が動かない限界の動水勾配という、理論的な値を基に物性値のばらつきを考慮した安全側の値を照査基準としています。このような基準で実施した河川堤防の浸透安全性調査結果によると、国が管理する河川堤防(延長約1万km)のうち、3割以上の区間で浸透安全性が不足していると考えられます。また、河川堤防の被災履歴の分析結果によると、堤防の漏水による被災の約1割が基礎地盤からの漏水で、残りの約9割は堤体漏水であると考えられます。すなわち、国が管理する河川堤防のうち、300km以上の区間について、基礎地盤の浸透安全性が不足しているものと推定されます。

 河川堤防基礎地盤を通じた漏水事例は、被災履歴全体からすると決して多くはありませんが、平成24年7月に矢部川右岸で基礎地盤の漏水に起因すると推定される破堤が発生しており、対策の実施が急がれます。一方で要対策箇所の延長は長く、すぐに対応することは困難です。従って、真に対策が急がれる地点から、対策を講じていくことが災害防止に効果的です。そこで土木研究所地質チームでは、要対策箇所の優先順位付けを行う目的で、基礎地盤のパイピング抵抗性を原位置試験により評価する方法の開発を行いました。
試験方法の概要
 開発した方法は、飽和砂質地盤を対象とし、原位置でパイピングを発生させることで地盤のパイピング抵抗性を評価するものです。装置や試験方法の概要を図1に、試験方法の実施手順の概略を次に示します。

1) 2つのボーリング孔の一方(注水孔)から地盤に注水し、他方(揚水孔)の水位を一定にすることで、2孔間に動水勾配を発生させます。

2) 2孔間の動水勾配を段階的に大きくします。

3) 揚水孔内のカメラ観察や2孔間の間隙水圧観測の結果から、パイピング進行状態を把握し、パイピングの各段階における動水勾配の相対比較により、地盤のパイピング抵抗性を評価します。

図-1 飽和基礎地盤の原位置パイピング試験方法の概要
技術開発の現状
 試験装置が完成し、様々な地質の現場に対して適用性の確認を目的とした試験を実施しています。あわせて、実験の再現性を確認し、再現性を高めるための装置や方法の改良を進めています。

参考文献
本技術に関する詳細な内容は下記を参照してください。
 日外勝仁・品川俊介・佐々木靖人(2017):飽和砂質地盤の原位置パイピング試験.土木技術資料,59(2), pp.8-13.

−お問い合わせ−
国立研究開発法人土木研究所 地質・地盤研究グループ地質チーム
〒305-8516 茨城県つくば市南原1-6 TEL: 029-879-6769 FAX: 029-879-6734

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