ICHARM -- The International Centre for Water Hazard and Risk Management

Newsletter from ICHARM

ユネスコセンター設立 推進本部ニュース

No.2 November 2004


土木研究所の紅葉
--目次--

  1. 最近のTOPICS
       −異常気象に関する検討会の開催―
        −ハザードマップ作成研修開始について−

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1. 「第16回UNESCO−IHP政府間理事会」報告


ユネスコ本部(フランス・パリ)
 

2004年9月20日〜24日にかけて、「第16回 UNESCO-IHP(ユネスコ・国際水文計画) 政府間理事会」がフランス・パリのユネスコ本部にて開催されました。

会議では、IHPの 今後の活動計画や関連する国際機関との連携強化等について議論する一環として、今後設立予定のいくつかのセンターが取り上げられました。土木研究所からは 坂本理事長以下、田雑総務部長、寺川ユネスコセンター設立推進本部長、栗林研究員が参加し、来秋設立予定の「ユネスコ水災害・リスクマネジメント国際セン ター(仮称)」(以降ユネスコセンターと略す)の設立計画を紹介すると共に、理事国やその他関係者の理解を深めてもらうために、様々なイベントを行いまし た。

 

 

(1) 坂本理事長によるユネスコセンター概要発表

2日目(21日)の会議の冒頭で、坂本理事長がユネスコセンターの概要に関するプレゼンテーションを行いました。発表では、これまでの設立準備の経緯や、センター設立後の活動内容及び今後のスケジュールについて説明を行いました。

発表後の質疑応答では、合計25カ国及び2つの国際機関の代表者からセンター設立を強く支持する旨の発言を頂きました。ユネスコのソロシナジー氏(自然科 学局次長兼水科学部長)はじめ多くの関係者が「これほど多くの賛同意見が寄せられたのは、これまでで初めての経験」と口をそろえていました。


土研ユネスコセンター設立計画についてプレゼンを行う
坂本理事長

フロアからは積極的に支援する声が寄せられた


レセプション参加者を出迎える理事長夫妻

(2)土木研究所主催レセプション

1日目(20日)の会議後、会議参加者を招待して土研理事長主催のレセプションを開催しました。会場入り口では、理事長と共に理事長婦人がそろって参加者を出迎えましたが、参加人数は約250人に及び大盛況でした。寿司や天ぷら、日本酒などの日本食の提供も好評でした。

参加者の一人からは「今まで34年間、IHP活動に参画してきたが、もっとも印象的なレセプションだった」とのコメントを頂きました。

 

 

 

(3) サイドイベント


プレゼンを行う寺川本部長

2日目(21日)の会議の昼休み時間を利用し、土木研究所の活動やユネスコセンターの設置趣旨について参加者の理解を深める目的でサイドイベントを実施しました。サイドイベントでは、土木研究所の概要のビデオ紹介に続いて、寺川本部長よりパワーポイントを用いたプレゼンテーションを行いました。

参加者には軽食を用意し、気楽な感じで聞いてもらったのですが約80人が参加する中、センターの研究内容や職員の公募計画などについて活発な質疑が行われ、20分間のプレゼンを含めて45分間の持ち時間はあっという間に過ぎ去りました。


懇談する松浦事務局長と坂本理事長

松浦ユネスコ事務局長との懇談

会議の初日、ユネスコの松浦晃一郎事務局長を訪問し、坂本理事長とユネスコセンターについて懇談の機会を持って頂きました。

事務局長からは、ユネスコの科学分野においては「水」を重点分野と指定したこと、日本のユネスコセンター設立に向けて事務局としても一生懸命取り組んでいく所存であること、など力強い支援の言葉を頂きました。

〜おわりに〜

5日目(24日)に行われた会議では、決議案として提案された21の候補の中、最終的に6つが採択された中で、ユネスコセンターの設立に 関する決議案が無事に盛り込まれました。今後、2005年春のユネスコ執行委員会を経て、秋のユネスコ総会で加盟191カ国の承認を得られるよう必要な手 続きを進めていくこととなります。

特に会議の1週間、様々な場面で力添え頂いたユネスコの今村専門家(国土交通省より派遣中)はじめ日本人スタッフの方々には、この場を借りて厚くお礼申し上げます。

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2. UNESCO-IHE(オランダ・デルフト)訪問

2004年9月30日の午後、当本部の寺川本部長と池田主任研究員がオランダ・デルフトのUNESCO−IHE(水教育研究所)を訪問しました。1957年に設立されたIHE研究所をベースとして2002年にユネスコ直属の組織(カテゴリー1のセンター)として改組された本研究所は、特に水分野における「教育、研修、研究」や「連携の構築とネットワーク」を主な機能として、世界中の国際・地域・国内センター又は研究所とプロジェクトベースでの強力な連携・ネットワークを確立しています。また、その卒業生は120カ国の12,000人を超えています。

私たちはUNESCO −IHE所長・Meganck教授から暖かい歓迎を受け、約1時間のミーティングののち、講義室や実験室などの施設を見学させていただきました。 Meganck所長からは、つくばに設立される予定の新しいユネスコセンターと将来にわたって協働することを強く望んでいる旨の言葉をいただき、 UNESCO−IHEが発行し、世界中に配布されているニュースレターに本ユネスコセンター設立計画の紹介記事を掲載したい旨の提案がなされました。


UNESCO-IHE所長Meganck教授室にて

UNESCO-IHE正面玄関にて

 

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3.最近のTOPICS

−異常気象に関する検討会の開催−

当本部では、水工研究グループ水理水文チームと共同して、気象分野と水文分野の専門家と行政官からなる検討会を組織し、日本での過去の豪雨発生の傾向の解釈についての検討会を開催しています。今月11月4日に第2回目の会合を開催しました。  今年の日本には、観測史上最高の10個の台風が上陸し、各地に大きな被害をもたらしました。このような豪雨頻度は、年々増加する傾向にあることを統計資料で示唆する報道がありますが、その傾向は、用いる気象データの種類、豪雨の定義、扱う時空間スケールなどによりさまざまな解釈が可能となります。この検討会では、洪水管理者及び、気象概況通報のそれぞれの立場からの、過去観測データの科学的解釈のための自由な意見交換をねらいとしています。第3回目は12月下旬に開催する予定です。

−国際協力機構(JICA)の新しい研修コース 「洪水ハザードマップ作成」開始について−

当本部では、2005年1月25日から2月19日までにわたってつくば市で実施されるJICAの新しい研修コース「洪水ハザードマップ作成」の準備を進めています。

本研修コースは、東・東南アジア地域別研修として毎年16名の研修生(各国2名)を対象とし、2004年度から5年間にわたって実施する予定です。本研修は、公的機関において洪水・河川管理業務に携わる技術者に対して、洪水ハザードマップ作成に必要な実務的技術を提供し、このハザードマップが洪水被害軽減に有効であることの理解を高めることによって、アジア・モンスーン地域の洪水被害軽減に資することを目的としています。

カリキュラムは、講義、グループ別実地演習、そして代表的な自治体・河川管理事務所への現地視察によって構成されます。募集要項は既にJICA事務所を通じて各国に送付され、目下研修希望者を募っているところです。 

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4. 設立推進本部の最近の動向と今後の予定

最近参加した会議の報告

「災害との共生」に関する国際会議(ソウル・韓国)

日時:2004年9月20日-23日
主催:WMO/UN-ESCAP台風委員会

本会議では、国土交通省国際建設技術協会が 主導する「洪水ハザードマップ・プロジェクト」の進捗について議論するとともに、「タウンウォッチング」として実際に現地で試験的にマップ作成演習を行い ました。本会議には推進本部から池田主任研究員が参加し、平成16年度から土研が実施する予定のJICA「洪水ハザードマップ作成」研修の概要について紹 介しました。

 

水と気候に関する国際会議 (アムステルダム・オランダ)

日時:2004年9月27-29日 主催:国際水協会(IWA)

本会議では、池田主任研究員から「日本における気候変動のもとでの洪水対策と今後の見通し」と題して発表を行いました。また、オランダを中心とする各国 参加者より気候変動と水資源に関する調査・研究成果の報告があり、今後のユネスコセンターの活動計画にも参考となる情報が得られました。

中国水利水電科学研究院との第1回ワークショップ開催(北京・中国)

日時:2004年10月13日
主催:中国水利水電科学研究院・土木研究所

 平成15年2月に土木研究所と中国水利水電科学研究院(水科院)が研究協力協定を締結してまもなく、両者は長江の洪水マネジメント政策に関する共同研究 を開始しました。また、土研が中心となって開発した水文モデルが水科院の研究に使われています。これらの進捗情報を確認と新たな協力分野を討議すると共 に、現在世界7箇所にあるユネスコセンターの一つである「国際泥砂研究訓練センター(北京)」との情報交換を始めることになりました。

第14回ユネスコIHP研修コース(クアラルンプール・マレーシア)

日時:2004年10月11−15日
主催:ユネスコ・ジャカルタ事務所・名古屋大学

第14回ユネスコIHP研修コースが湿潤熱帯地域センター(HTC-KL)の ホストにより開催されました。本コースにはアジア地域から40名以上が参加し、前半の講義セッションにおいて、池田主任研究員がユネスコセンター設立計画 について発表しました。次にこれまでの研修実績をレビューするとともに、今後とも一層実りの多い研修とするための将来像について講師やこれまでの研修参加 者、今回の研修生との間で議論を行ないました。

WMO水文委員会第12回総会(スイス・ジュネーブ)

日時:2004年10月19−29日
主催:WMO(世界気象機関)

寺川本部長と吉谷上席研究員が日本政府代表団の一員として出席しました。4年に1度開催される本会議には、加盟187カ国(地域)中52カ国の実務水文 機関(National Hydrological Service)及び関連国際機関等から、約150名が参加し、水文観測、水文・水資源データ管理及び水文予測等の分野においてWMOが主導しているさま ざまな国際的な取り組みについて、4年間の活動のレビューと今後4年間の活動について議論が行われました。

 

今後の予定

土木研究所・国総研「土木の日」一般公開

日時:2004年11月20日(土) 9:30-15:00(受付は14:00まで)
場所:土木研究所(つくば市)

今年度も土研と国総研の共催で、一般の方に土木技術を身近に感じてもらうために施設の一般公開を実施します。当本部は、水理水文チームと共同で「降雨体験車」(国土交通省関東地方整備局より借用)を用い、10mm/h〜300mm/hの豪雨の激しさを体験してもらうことにしています。また、スタンプラリーに参加して一定の施設を回ればステキなプレゼントがもらえる企画もあります。是非ご家族連れで来場下さい。

→詳しくはこちらをご覧下さい

国際会議:「水問題に敏感な都市計画に関する国際会議:集水域としての都市域」

日時:2004年11月21日(日)-25日(木)
場所:アデレード(オーストラリア)

本会議では、WSUD(Water Sensitive Urban Design)の原則と、都市・地域の持続性の関係について調査し、最近の経験について学習し、特に都市構造に特定あるいは一般的と思われる災害の脅威と その可能性を引き出すことを目的としています。当本部からは、吉谷上席研究員が鶴見川水マスタープランを日本の総合的水資源管理の成功事例として紹介する 予定です。

→詳しくはこちらをご覧下さい

国際ワークショップ「水と災害」(ロンドン、カナダ)

日時:2004年12月13日(月)−14日(火)
場所:ロンドン(カナダ)

本ワークショップは水災害の負のインパクトを最小限に食い止めるための様々な国際的、国内的、地域的イニシアチブを議論する学際的な場を提供するものです。当本部は、セッションの一つを国際洪水ネットワーク(IFNet)日本水フォーラム(JWF)等と共同で運営します。

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ホームページの更新情報

2004年3月に開催した長江セミナー報告書を掲載

次号予告

次号は2005年1月に発行する予定です。WWAP(世界水アセスメント計画)などセンター設立準備の一環として行っている研究活動について報告する予定です。


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編集・発行:独立行政法人土木研究所 ユネスコセンター設立推進本部 〒305-8516 茨城県つくば市南原1−6

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