平成19年度土木研究所講演会

9:35〜11:35 大切な道路橋を長持ちさせるために ─劣化損傷の実態とその対策技術の開発─
<講演概要>
高度経済成長期に建設された膨大な社会基盤(インフラ)の老朽化による劣化損傷が今後顕在化することが予測される中、安全で快適な社会経済活動を継続していくためには、これらの損傷に対し、適切に維持管理していく必要がある。 本講演では、代表的な社会基盤である道路橋に的を絞り、その維持管理のあり方、 問題点等について論じるとともに、劣化損傷の実態と土研をはじめとする関係機関で実施されている対策技術の開発状況を紹介する。

9:35〜10:35
「社会基盤の保全に向けて─維持管理のあり方─」
東京大学大学院工学系研究科 教授  藤野 陽三
<プロフィール>
1949年生まれ。ウォータール大学工学部博士課程修了。 1976年ウォータール大学博士研究員。東京大学地震研究所助手、筑波大学構造工学系助手、講師を経て1982年東京大学工学部助教授(土木工学科)。1990年大学院工学系研究科土木工学専攻教授。現在、同社会基盤学専攻(名称変更)教授。

<役職>
日本風工学会理事、日本鋼構造学会理事、国際構造工学会副会長、世界構造ヘルスモニタリング副会長、世界 構造制御モニタリング学会理事・次期会長 など

<受賞履歴>
土木学会論文奨励賞
土木学会田中賞(論文部門)
土木学会論文賞
日本風工学会論文賞
アメリカ土木学会Raymond C. Reese Research Prize
紫綬褒章
10:35〜11:35
「最近の道路橋の劣化損傷の特徴と対策技術の開発状況について」
構造物研究グループ長  福井 次郎
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12:35〜13:25 トピック

「最近の地震被害の傾向と技術課題」

耐震研究グループ長  松尾 修

<講演概要>
2007年に連続して起こった能登半島地震および新潟県中越沖地震における公共土木施設の被害の概要を 紹介し、2004年新潟県中越地震や1995年兵庫県南部地震などによる被害との傾向の違いについて述べる。 そして、盛土、橋梁、下水道施設等についての耐震技術課題を整理し、いくつかの課題について研究成果の 一部を紹介する。まとめとして、道路土工部の耐震性強化を進めるための技術開発の方向性を述べる。
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13:25〜14:25 特別講演
「気候変動と水循環と日本文明」
(財)リバーフロント整備センター理事長  竹村 公太郎
<講演概要>
21世紀に入り、地球温暖化の影響が次第に顕在化してきた。その地球温暖化の現象は、氷河の減少、北極海の 氷の減少、海水温の上昇と海面の上昇、降雪量の減少、極端な豪雨と極端な渇水と全て「水」で現れてきている。 さらに、21世紀の未来世界を見通すと、世界人口の増大と経済活動の活発化による資源の枯渇、食糧の逼迫 などの厳しい事態が想定され、この資源枯渇と食糧逼迫も「水」に密接に関係している。 21世紀の人類文明を考えるキーワードは「水」となり、この「水」で未来の日本文明を考えていくのは意味がある。 凶暴化する洪水に 対し、安全は確保できるのか?温暖化で日本の水資源はどうなるのか?地球規模の資源枯渇に日本は対応できるのか?海面上昇で日本は沈没するのか? 社会資本整備を担う人々は、地球温暖化の真偽は議論できない。しかし、すでに温暖化のトリガーは弾かれたという前提で、日本文明存続のための社会資本整備の 検討は出来るし、その検討に入る必要がある。なぜなら「地球温暖化は確実だ」と人類が断言できるのは、 温暖化が深刻に進んだ時点となる。ところが、その温暖化に対応する社会資本整備は百年オーダーであり、 すぐに用意できるものではない。 日本文明の未来と社会資本整備のあり方を、国民と政治指導者たちに提示することは、社会資本整備に携わった者たちの責任となる。

<プロフィール>
(財)リバーフロント整備センター理事長、非営利特定法人・日本水フォーラム事務局長、立命館大学客員教授、工学博士。 1945年生まれ。東北大学工学部土木工学科1968年卒業、1970年修士修了後、建設省に入省。宮ヶ瀬ダム工事事務所長、中部地方建設局河川部長、河川局開発課長、近畿地方建設局長を経て国土交通省河川局長。2002年に退官後、2004年より現職

<主な著書>
「日本文明の謎を解く」(清流出版 2003年)
「土地の文明」(PHP研究所 2005年)
「幸運な文明」(PHP研究所 2007年)
「小水力エネルギー読本」(オーム社:共著)
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14:35〜16:15 地球温暖化時代の水防災
<概要>
地球温暖化は着実に進行し、豪雨、台風、渇水などの極端気象現象に起因する災害は、増加の一途をたどっている。水災害は加害外力と、社会の脆弱性の両者がともに増加することにより、加速度的に深刻さを増している。これに対応するためには、社会がその基本構造を見直し、新しい高リスク環境への適応に向けて、パラダイムシフトする必要がある。その必要性と、方向性を考えるために、極端現象は今後どこまで拡大するのか、また 社会は新しい環境に適応するために、何からはじめなくてはならないのかを論じる。
14:35〜15:25
「地球温暖化問題の急展開-IPCC第4次報告書の意味」
東京大学サステイナビリティ学連携研究機構 統括ディレクター・教授  住 明正
<プロフィール>
1948年生まれ。1971年東京大学理学部物理学科卒業。
1973年東京大学大学院理学研究科物理学専攻修士課程終了、気象庁東京管区気象台調査課勤務。気象庁予報部電子計算室、ハワイ大気象学教室助手、気象庁予報部電子計算室を経て1985年東京大学理学部地球物理学教室助教授。1991年東京大学気候システム研究センター教授。1995年東京大学気候システム研究センターセンター長を兼任(2004年3月まで)。
2005年東京大学サステイナビリティ学連携研究機構 地球持続戦略研究イニシアティブ統括ディレクターを兼任。
2006年東京大学サステイナビリティ学連携研究機構・教授(特任教授を兼任)。

<受賞歴>
日本気象学会山本賞
日本気象学会藤原賞
日経地球環境技術賞

<主な著書>
「地球温暖化の真実」(ウェッジ選書 1999年)
「さらに進む地球温暖化」(ウェッジ選書 2007年)
「ビールびんの中の雲」(丸善 1990年:訳書)
「窓の向うはどんな世界」(丸善 1993年:訳書)

15:25〜16:15
「温暖化適応のための水防災」
水災害・リスクマネジメント国際センター長  竹内 邦良
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16:15〜16:55 土研開発工法連続紹介
土木研究所の開発した工法について紹介する。
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