1.はじめに
2004年5月と6月に武士が、第4回日伊土砂災害防止技術会議およびTRB第6回雪氷対策技術に関する国際シンポジウムに参加する機会を得ましたので、これらの概要について報告します。
2.第4回日伊土砂災害防止技術会議
(1)会議の概要
2004年5月20日から22日にかけて、イタリア共和国南部のサレルノ市およびナポリ市において、第4回日伊土砂災害防止技術会議が開催されました。この会議は1998年にイタリア共和国サルノ市周辺で発生した土砂災害に対して日本側が技術的な支援を行ったことを契機として開始されたもので、今回日本側からは、国土交通省砂防部、国土技術政策総合研究所、土木研究所、そして(財)砂防・地すべり技術センターから計9名が参加しました。
国土交通省近藤砂防部長とサレルノ大学カッシーニ教授による基調講演に続き、土砂災害に対するハード対策、モニタリングシステム、土砂災害に関するハザードマップ、警戒避難の4つのセッションで18の発表が行われました(写真1)。
筆者はモニタリングシステムのセッションにて「光ファイバーセンサの地すべり調査への適用」についての発表を行いました。各発表とも非常に熱心な討議が行われました。
また2日目午前中には1998年5月に発生したクインディッチ市の土砂災害発生現場の視察を行い、現地での災害復旧の様子を現地スタッフから聞くとともに、遊砂地などの対策施設を見学しました(写真2)。3日目には日伊の共同研究の今後の活動について議論を行いました。
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写真1 基調講演 |
写真2 遊砂地(クインディッチ市) |
(2)ナポリ市とサレルノ市
ナポリ市はイタリア南部にあるイタリア第3の都市で、「ナポリを見てから死ね」との言葉が示すように歴史ある美しい都市です。ベェスヴィオ火山の噴火で埋まったポンペイ遺跡も近くにあります。またサレルノ市はナポリ市から約50km南に位置し、両市とも地中海に面した魚介類をはじめとする食べ物とワインの非常においしいところでした(写真3、4)。 今回の行程中、会議等が20時近くまで設定され、夕食は21時頃から始まり24時近くまでと、良く働き(飲んだ)印象深い出張となりました。
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写真3 サンタ・ルチア港から望む
べェスヴィオ火山 |
写真4 サレルノ市の海岸 |
3.TRB第6回雪氷対策技術に関する国際シンポジウム
(1)シンポジウムの概要
2004年6月7日から9日にかけて、アメリカ合衆国ワシントン州西部に位置するスポケーン市において、第6回雪氷対策技術に関する国際シンポジウムが、TRB(米国交通運輸研究会議)冬期道路管理委員会の主催で開催されました。
本シンポジウムは、道路雪氷対策の研究や技術開発についての最新情報を交換することを目的とし4年に一度開かれています。今回の本シンポジウムへの参加者は北米を中心に約160名で、日本からは10名以上の参加がありました。
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写真5 シンポジウムの様子 |
基調講演の後、下記の幅広い分野のセッションで約50件の発表が行われました(写真5)。@冬期管理作業支援、A雪氷対策のための薬剤散布、B冬期管理作業における利用者の視点(評価)、C冬期舗装面温度、D職員(スタッフ)の啓発(教育)と支援、E残留薬剤、F冬期気象モデルとデータの質、G薬剤の性能、H冬期気象情報、I冬期維持管理機械の改良、J冬期維持管理方針とマネージメント、K橋梁の冬期サポートシステム、L環境への配慮、M大量の雪のコントロール、N路面状態モニタリング、O薬剤の性能(パート2)、P事業評価と冬の厳しさ、Q環境への配慮(パート2)。
各セッションのテーマは上記のように細分化され焦点が絞られており、活発な質疑応答が行われました。筆者は、G薬剤の性能のセッションで、「非塩化物型凍結防止剤の性能試験」についての発表を行いました。
(2)スポケーン市
スポケーン市は海に面したシアトルから約300km内陸、カスケード山脈を越えたところ
にあり、シンポジウム会場となったダブルツリーホテルの近くにあるリバーフロント公園など、水と緑の大変美しいところです(写真6)。水鳥が歩道上を悠然と歩いている姿が印象的でした(写真7)。
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写真6 リバーフロント公園からみた会場のダブルツリーホテル |
写真7 歩道上の水鳥 |
筆者の搭乗した成田発シアトル行きのジャンボ機がエンジントラブルのため成田空港に引き返し、翌日の便で行くことになってしまい、発表になんとか間に合ったような状況であったため、その意味でも印象的な出張となりました。
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