大学の修士課程を卒業した後、土構造物等に関する研究開発を行っている施工技術チームに配属され、2回の異動を経て現在も同チームに所属しています。 この間、寒地土木研究所で橋梁等の研究開発に従事し、コンクリート構造物の診断に関する資格も取得しました。また、国道事務所で行政職として新しく建設する高規格幹線道路の路線計画等に携わりました。
現在は、主に道路の地盤や土構造物に関する研究開発を行っています。研究では実験や観測も行いますが、できるだけ信頼性の高い結果を得るために、 目的に応じて、実際の構造物に近い実大の模型や、世界最大級の試験装置を使用しています。
土研の構内にある長期観測の
ための高さ8mの実験用擁壁
(天端にいるのが筆者)
世界最大級の遠心力載荷試験装置
(右下にいるのが筆者)
台風等の災害時には、自治体等の要請で現地に入り、二次災害に対する危険性の評価や、安全にできるだけ早く復旧する方法等について技術的な指導を行います。土研の腕の見せ所です。
研究成果を社会に実装することも土研の大きな役割です。例えば、研究の成果は、国土交通省の施策の立案の支援や、安全で長持ちする道路を作るための「基準」や「標準」の作成に活用されます
(基本的には、インフラを作ったり点検したりする際に全ての方がこの「基準」や「標準」を読みます)。
「土研」の目的から、必ずしもお金が稼げる技術開発が求められるというものではありません。
そのため、すぐに役立つ研究はもちろんですが、すぐに役に立たつとは限らないシーズ研究まで含めて研究の対象とすることができます。
研究においては、複数の研究チームで経験を積むこともできます。私の場合は「土」と「構造」の2つの研究チームを経験しました。
研究を究めるうえでは遠回りに感じるかもしれませんが、知識だけでなく考え方や応用の幅が大きく広がります。また、研究だけでなく、国道事務所等で行政経験を積むこともできます。
豪雨災害の後の道路
の現地調査(奥が筆者)
土木研究所では、我が国のインフラに係る基準・指針の作成や、地震・豪雨等の災害時には国、地方公共団体等の施設管理者から要請を受けて原因の調査、復旧に関する技術支援を行っています。 大変ではありますが、我が国のインフラを支える非常にやりがいのある仕事です。
出勤
つくば市内の自宅から車で通勤しています。
(道路が混雑するときは、自転車の方が早いかもしれません)
会議の準備
出勤し、メールを確認し返信を終わらせたら、来週ある会議の準備をします。 この会議では、国の技術基準の適切な運用を支援する技術図書の内容について審議します。研究成果を反映した原稿と、その説明用の資料を作成します。 私は、この会議の事務局としての立場でもあるため、ほかの委員の方に執筆していただく原稿の内容の調整やとりまとめも行います。
予備実験
構内にある実験棟に行って、実験で使用する補強材模型の引抜き特性を求めるための予備実験を行います。 事前に実験の計画は作成していて、この計画に基づいて、模型の加工、実験のセットアップ、載荷・計測等の作業は実験計測を専門としているコンサルタントの方に協力してもらっています。
予備実験の試験装置
昼食
普段は隣の席の非常勤職員さんと一緒に、自宅から持ってきた弁当を食べています。近くのラーメン屋等に行くこともあります。
打合せ
先月実施した模型実験の結果について研究員と打合せします。結果の整理作業は研究員に担当してもらっています。全体の挙動がよく分かったので、
詳細な分析をするための画像解析の手法について確認しました。
今度は、交流研究員の方に担当してもらっている別の模型実験の計画についての打合せです。
前回の打合せで確認されていた実験装置の構造上の問題点を解消できたので、実験装置の製作を専門会社に発注する準備として、加工図の作成に進むことにしました。
次の予定まで、午前中の資料作成の続きの作業です。
建設コンサルタントの方とFEM解析について打合せをします。実験結果を精緻にシミュレーションするためには、モデルが複雑(職人芸)となるため、効率化のために発注しました。
前回の打合せで、構成則の変更とパラメータの感度評価をお願いしていましたが、これが完了したので、成果を納品してもらいました。
FEM解析の実行状況
帰宅
定時は17:15ですが、少し残業した後、土研のバレーボールサークルの練習に参加します。