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課題について
PDご挨拶
PDご挨拶
久田 真
(内閣府・SIPスマートインフラ プログラムディレクター)
(東北大学大学院 工学研究科 インフラ・マネジメント研究センター センター長)
インフラが直面する解決すべき課題

我が国では、高度経済成長期から急速に整備されてきたインフラの老朽化が著しく進行し、その対策が急務となっています。特に、これからのインフラには、このような老朽化への対応だけでなく、災害への備えとともに、少子高齢化、温暖化への対応など、SDGsをはじめとするグローバルな社会課題や、デジタルトランスフォーメーション(DX)やカーボンニュートラル(CN)などの推進にも対応し得る、レジリエントでサスティナブルなインフラ(=スマートインフラ)であることが強く要求されています。このことは、金融・世界経済に関する首脳会合(G20)でも、自然災害などに対する「強靭性」、誰ひとり取り残されないという「包摂性」、社会や環境への影響にも配慮した「持続可能性」を有するインフラすなわち「質の高いインフラ(※1)」こそが、世界経済の発展に不可欠であると議論されています。

その一方で、インフラが多岐にわたるうえ、既設のインフラが膨大であることなどから、財源の確保や担い手が大幅に不足しているなど、解決すべき課題は山積しているのが実状です。

第3期戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)について

令和3年3月26日に閣議決定された「第6期科学・技術イノベーション基本計画(※2)」でも示されている通り、我が国においては、あらゆる分野でSociety 5.0が描く将来像を実現することが目標として定められています。これを受けて、内閣府・戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)では、我が国が目指す将来像(Society5.0)の実現に向けて、令和5年4月からスタートする第3期SIPで取り組むべき14のミッション(課題)を設定しました(※3)。この14のミッション(課題)の1つとして「スマートインフラマネジメントシステムの構築」が設定されることになりました。

スマートインフラマネジメントシステムの構築

「スマートインフラマネジメントシステムの構築」では、目指す将来像を「効率的なインフラマネジメントが進んだ社会」すなわち「未来のまち」の実現、と定義しています。また、「未来のまち」の基盤となる「未来のインフラ(スマートなインフラ)」として位置づけ、「インフラ・建築物の老朽化が進む中で、デジタルデータにより設計から施工、点検、補修まで一体的な管理を行い、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを推進するシステムを構築する」ことを本課題のミッションとしています。

ここでいう「持続可能で魅力ある国土・都市・地域」とは、「未来のまち(スマートシティ)」、「未来のインフラ(スマートインフラ)」およびこれらを具現化する「未来の建設技術」をアウトプットとして常にイメージしつつ、これらを推進するための中核システムとしてデジタルツインによるデータ共通基盤をコアとした将来像(Society5.0)です。また、これらのアウトプットから、建設技術を対象とした「インフラマネジメント技術のスマート化」と、建設以外の他分野がインフラに期待する要件等をバックキャストして読み解くことで「インフラそのもののスマート化」に分類して5つの検討課題(サブテーマ)が整理され、これらを総合的に推進することでスマートインフラマネジメントシステムの構築すなわち「未来のまち」を具現化し、Society5.0の実現を目指す計画としています。

目指す将来像(Society5.0)の実現に向けて

第3期SIPでは、定められた運用指針(※4)に基づき、社会的課題の解決や日本経済・産業競争力にとって重要な分野について、Society5.0の実現を目指して、基礎研究から社会実装までを見据えて一気通貫の研究開発を、府省連携で分野横断的に取り組んで参ります。また、技術だけでなく、事業、制度、社会的受容性、人材などの視点から社会実装へ向けての戦略を策定し、産学官連携により、マッチングファンドの貢献やスタートアップの参画を積極的に推進して参ります。SIP「スマートインフラマネジメントシステムの構築」プロジェクトが、今後の我が国の飛躍的な発展に貢献することを目指して取組みを進めて参りますので、今後とも、何卒、宜しくお願い申し上げます。

※1 質の高いインフラ

※2 第6期科学・技術イノベーション基本計画

※3 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

※4 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)運用指針

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