研究成果・技術情報


知的財産権: 特許 第3321606号pdfファイル(スラリーの重力濃縮方法)
                特許 第3521232号pdfファイル(スラリーの重力濃縮装置)

技術の概要
 下水処理場の重力濃縮槽を改造することで、濃縮汚泥濃度を向上させる技術です。「みずみち棒」という棒を汚泥掻寄機に鉛直に取付け、低速で動かすことで棒の後部にみずみちが形成され、汚泥粒子の沈降速度が高まります。その結果、より高濃度の濃縮汚泥を短時間で得ることができます。
 既存の重力濃縮槽を活用できるため、導入コストを低く抑えることができます。また、脱水汚泥量が減ることから、次の脱水工程の負担軽減が図られ、維持管理費を大幅に低減することができます。


適用の効果
1) コスト縮減
  • 機械遠心濃縮設備の新規導入に比べて、約1/10の工期短(導入費+15年の維持費)のコストで導入可能です。

  • 2) 品 質
  • 汚泥濃度は最大で4%程度のコストに向上します。

  • 3) その他
  • 導入前に比べて臭気改善やスカム発生抑制、越流水質の改善効果が得られます。
  • 汚泥体積が減少するため、濃縮汚泥の消化槽における滞留時間が増加し、消化ガスの発生量増加が期待できます。


  • 適用条件
  • 重力濃縮槽の中に汚泥掻寄機が取付けられることが必要です。
  • クリックで画像を拡大
    < みずみち形成メカニズム >
    クリックで画像を拡大
    < みずみち棒導入後・
    清掃後の濃縮汚泥濃度
    (苫小牧市) >
    クリックで画像を拡大
    < 掻寄機のアームが
    8方向の例(熊本市) >


    適用上の留意点
  • みずみち棒を取付ける掻寄機のアームは、多い方が効果が高くなります。
  • みずみち棒は中心部が密、周辺部が疎となるように配置すれば効果が高くなります。
  • 掻寄機の回転速度を設計指針よりも低く(0.02~0.07rpm程度)設定する必要があります。
  • 濃縮度合いは気候・流入汚泥条件により変わるため、駆動装置は可変速を推奨しています。
  • 引抜きポンプの性能によっては、濃くなった汚泥を引き抜けない場合がありますが、回転速度を高めることで対応が可能です。
  • 毛髪等の絡み等で経時的に性能は低下しますが、数年に1度の清掃により回復されます。


  • 動画
    クリックで動画を再生
    < みずみち棒による濃縮効果(味噌汁を用いた実験(64倍速)) >
    (FLV形式動画(1.68MB), 0:47)


    適用実績
     
    年度 導入現場
    平成12年度 北海道苫小牧市 西町下水処理センター
    平成13年度 北海道苫小牧市 西町下水処理センター(2基目)
    北海道枝幸郡枝幸町 歌登下水終末処理場
    平成18年度 北海道小樽市 銭函下水終末処理場
    北海道紋別郡遠軽町 遠軽下水処理センター
    平成20年度 北海道石狩市 八幡処理場
    佐賀県西松浦郡有田町 浄化センター
    熊本県熊本市 中部浄化センター(2基)
    平成21年度 北海道苫小牧市 勇払下水処理センター
    北海道余市郡余市町 余市下水処理場
    愛媛県今治市 北部終末処理場
    平成23年度 北海道川上郡標茶町 標茶終末処理場
    平成24年度 北海道苫小牧市 勇払下水処理センター(2基目)
    平成27年度 北海道白老郡白老町 白老下水終末処理場
    熊本県熊本市 東部浄化センター
    平成28年度 北海道札幌市 西部スラッジセンター

    (平成28年12月現在)


    表彰等
  • 第7回(平成17年度) 国土技術開発賞優秀賞(国土交通大臣賞)
  • 第1回(平成17年度) ものづくり日本大賞(内閣総理大臣賞)


  • 問合せ先
    【研究・開発】
       国立研究開発法人 土木研究所 先端材料資源研究センター (iMaRRC) :TEL 029-879-6765
    【問合せ】
       技術推進本部 :TEL 029-879-6800