物理探査・土木技術に関する情報を提供します.

第1回 物理探査って何?

「物理探査」.聞き慣れない用語ですが,もともとは「地球物理学的探査」という長く難解な訳語を略したものです,人間の目では直接見ることができない地下の地盤構造や基礎構造物周辺の状態を,物理現象を利用して可視化(イメージング)し,さらにその物理的特性(物性)を解明する計測技術です.

地下空間を掘削したり,あるいは地下構造物を構築しようとする場合,まず地下が「どうなっている」か,を知る必要があります.地盤調査といえば,ボーリング調査が主体でしたが,ボーリング調査では「点」(もしくは線)の情報しか得ることができません.

CTスキャンのイメージ写真

これに対し物理探査では,「面」(2次元)あるいは「立体」(3次元)の情報を,基本的に非破壊で得ることができます.非破壊で面的情報を得るという点では,医療分野におけるX線CTや超音波検査などの非侵襲的臨床検査と似ています.実際,両者には共通する計測技術や解析手法が使われています.

適用分野では,古くから石油・天然ガス,石炭・地熱などの資源探査に盛んに使われてきましたが,日本では活断層調査などの防災分野と並び,土木建築分野で広く活用されてきました.しかし地下を構成する地盤・岩盤は不均質な上,得られた物性情報を工学的示標と結びつける過程が充分に確立されているとは言えず,研究すべき課題が多く残されています.また計測機器の性能が近年急激に向上し,いままで不可能だった微弱な信号を捉えられるようになりつつあり,それを利用した新たな探査手法・機器開発も求められています.

物理探査には,計測に利用する物理現象によって,弾性波探査(地震探査),電気探査,電磁探査,磁気探査,重力探査,放射能探査などがあります.これらの手法については次回以降で解説していきます.