実験河川を活用して河川における自然環境の保全・復元方法について調査・研究を行っております

English サイトマップ お問い合わせ
独立行政法人 土木研究所 自然共生研究センター サイト内検索



Q 河川環境を人に伝えるには
どんな方法が効果的でしょうか?

A わかりにくい事象を整理すると
情報を伝える方法がわかります


● 目的と背景

 当センターで過去に行った研究から、河川の水際植生域には流速や照度の低減効果があるため、平常時には魚類の生息に良好な環境になっていることが確認されています。では、増水時にも同様に機能するのでしょうか?その結果について報告します。

表1 河川環境でわかりにくい事象


● 河川環境でわかりにくい事象

対象の大きさによりわかりにくい事象
 河川環境に関する事象は、様々な空間スケールの基で生じています。例えば、流域や水系は河川全体を形成する一つの単位ですが、対象が広すぎるため全体を見ることができません。また、上流から下流へ至る空間的な繋がりも、水辺から見ただけでは捉えにくい対象です。一方、河川に生息する生物は、河川生態系を支える重要な構成員ですが、水生昆虫や付着藻類など対象が小さいために気付きにくい存在です。
水の性質上わかりにくい事象
 水中は視覚的に制限されるため、陸上から河床材料や河岸形状を詳しく見ることができません。また、流れの速さや方向は水面を観察することで見当をつけることができますが、瀬や淵の水面下の複雑な流れや巨礫の周囲を洗掘する流れは見ることができません。水温や水質など水の状態も、視覚による判断が難しい項目です。
時間をかけて変化する事象
 河原の樹林化は、長い年月をかけてゆっくりと変化するので、人間がもつ時間の感覚や記憶では気付きにくい事象です。また、外来種や希少種の分布範囲の変化、扇状地や自然堤防など河川地形の形成も、長時間に渡る変遷であるため認識が難しい事象です。
時間的に制限されたり変化が早い事象
 魚類の遡上や夜行性生物の行動は、ある限定した季節や時間帯でしか見ることができない事象です。また、洪水や渇水など川の水量変化、州やワンドなどの土砂の移動は、観察する時間や時期によってその状況が異なります。


● まとめ

 河川の事象は、様々な要因が複雑に関わっているため、一般化することは非常に難しいです。しかし、情報を整理してわかりやすく伝えることで、河川に関わる人々が情報を共有し、共通の認識を育むことができ、河川事業の円滑な推進にも寄与することと思われます。


担当:真田 誠至




PAGETOP↑
国立研究開発法人 土木研究所
自然共生研究センター

〒501-6021 岐阜県各務原市川島笠田町官有地無番地
TEL : 0586-89-6036 FAX : 0586-89-6039
Copyright © PWRI, Japan. All Rights Reserved.