土研ニュース

ダム貯水池からの排砂技術の公開実験

シート排砂技術のイメージ図
シート排砂技術のイメージ図
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「シート排砂技術のイメージ図」右下 平面図の写真
「シート排砂技術のイメージ図」右下 平面図の写真
土砂が吸引されています
エアーバルブ排砂実験の状況
エアーバルブ排砂実験の状況

 河川にダムを造ると水と一緒に川を流れる土砂も貯水池に貯まります。このことによって下記のような問題が生じます。
・ ダムの有効容量の減少
(日本の多くの貯水池では、100年間に堆積する土砂用の容量を確保していますが、予想以上のスピードで土砂の堆積が進んでいる貯水池があります)
・ 下流河川の河床環境の変化
(川底の小さい粒径の土砂が少なくなる、土砂が更新されない等)
・ 下流海岸の砂浜の減少

 そこで、貯水池の寿命を延ばし下流の土砂環境を改善するために、貯水池に堆積した土砂を下流河川に供給する排砂技術が求められています。このような背景から、河川・ダム水理チームでは、排砂技術の研究を行っており、民間企業と共同研究で開発した2つの技術について、模型実験により砂を貯水池の水位差によって排出可能なことが確認できました。これらの技術について2007年12月20日に排砂実験の一般公開を行いました。
 当日は、排砂技術の概要を説明した後、土木研究所構内のダム水理実験施設にて、
  ・シート排砂実験
  ・エアーバルブ排砂実験
  ・ダム水理模型実験
の3つの実験を公開しました。
 この公開実験には、報道関係3社、国土交通省・地方自治体関係計7機関、建設コンサルタント・建設会社・メーカー等民間会社計21社からの参加があり、質疑応答では、排砂技術の現地への適用性や現地実証試験等の今後の予定等について、活発な議論が行われました。

 これらの技術は、現在のところ、砂を用いた実験室規模での検証を行った段階ですが、今後の実用化に向けて研究開発を続けていく予定です。


(問い合わせ先 : 河川・ダム水理チーム)

セミナー「水循環の計画と設計」実施報告

     
浅野カリフォルニア大学名誉教授による基調講演
浅野カリフォルニア大学名誉教授による基調講演
カリフォルニア州における下水処理水の再利用用途
カリフォルニア州における下水処理水の再利用用途
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パネルディスカッション
パネルディスカッション

 1月16日に、「水循環の計画と設計」セミナーが大阪で開催されました。近年、地球温暖化の影響による水資源の不安定化や、大都市における水辺の消失が問題とされていますが、新たな水資源を再生水として生み出す下水道には、水循環を計画・設計する役割が期待されています。本セミナーでは、水の再利用や水循環に関する国内外の現状や諸課題について理解を深め、今後の下水道の役割を考えるため、講演やパネルディスカッションが行われました。

 最初に基調講演として、水のノーベル賞といわれるストックホルム水賞を受賞した浅野孝カリフォルニア大学名誉教授(土木研究所フェローとして来日中)に、米国カリフォルニア州における下水処理水再利用の必要性と実態およびその課題についてお話しいただきました。
 カリフォルニア州南部の乾燥地帯に位置するロサンゼルスやサンディエゴの大都市では、今後も人口増に伴う水需要の増加が予測されており、一方で、新たに水を得る手段が限られていることから、下水処理水が持続可能な水資源として注目されています。現在、下水処理水は、農業用水、景観灌漑、工業用水等として利用されていますが、さらに進んで、処理水を逆浸透膜などにより高度に処理して地下に浸透させ、それを飲料水として再利用するプロジェクトも開始されたとのことです。今後は、市民の理解と支持を得るためのコミュニケーションが重要であると指摘されました。
 この他、パネルディスカッション等が行われ、大学の先生方によって、水循環を適切に管理する方法、下水処理水の安全性確保の方法、開発途上国の人の健康を守るための衛生施設の重要性、日本企業が世界水ビジネスに進出する仕組み作りの重要性などが、話し合われました。

 セミナーには、約270名の人が参加して熱心に聴講していましたが、これからの下水道の役割を考えるためのヒントがきっと得られたものと思います。



(問い合わせ先 : 水質チーム)

   

熊本市と「土木技術に関する連携・協力協定」を締結しました

幸山市長と坂本理事長が協定書に署名
幸山市長と坂本理事長が協定書に署名
「土木技術に関する連携・協力協定」締結
「土木技術に関する連携・協力協定」締結
熊本市の技術者との情報交換
熊本市の技術者との情報交換

 平成20年1月16日(水)熊本市役所において、相互に連携・協力を行い、良質な社会資本の効率的な整備及び管理に寄与することなどを目的とした協定を締結しました。

 熊本市は、近い将来の政令指定都市実現を目指すとともに、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けた都市基盤整備や中心市街地の活性化等のまちづくりを進めています。その中で、土木の新技術に対する取り組みが非常に熱心であり、理解も深く、土研との連携・協力協定に強い意志を持っていました。
 その意向を受け、地方公共団体の支援や技術者の育成、地域技術力の向上等の使命を持つ土研としても、積極的に連携・協力し、現場の実態や研究ニーズ等を的確に把握して、より良い研究に反映させていこうと考えました。

 当日は、熊本市の幸山市長と土研の坂本理事長が協定書に署名し、正式に協定の発効となりました。その後の技術情報交換会では、土研の開発技術や熊本市の事業紹介などを行うとともに、熊本市が抱えている土木事業等に係る諸問題の解決に向けて、次のカテゴリーに分けて、市の技術者と土研の研究者が熱心に情報交換を行いました。

 1 道路構造物の効果的な維持管理技術
 2 自然再生、共生を可能とする河川再生技術
 3 下水道施設の効果的効率的な維持管理について
 
 今回の熊本市との協定が地方自治体との間では第1号となりますが、相互にメリットが発揮されるよう、今後さらに連携・協力を深めたいと考えています。


(問い合わせ先 : 技術推進本部)

   

雪崩災害防止セミナー
  「最近の雪崩災害と研究最前線」実施報告

新潟大学教授 西村浩一氏による基調講演
新潟大学教授 西村浩一氏 による基調講演
雪崩災害防止セミナー in 秋田
雪崩災害防止セミナー in 秋田
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 雪崩・地すべり研究センターと寒地土木研究所雪氷チームとの共同で、雪崩災害防止セミナー「最近の雪崩災害と研究最前線」を、12月の雪崩防災週間に先立ち、秋田県の協力のもと、平成19年11月30日に秋田市で開催しました。

 本セミナーは、「平成18年豪雪」の教訓に鑑み、防雪に携わる行政など実務担当者を対象に、最近の雪崩災害の特徴と雪崩対策について理解を深めるとともに、国内外の最新の研究状況を紹介し、今後の雪崩対策を考えることを目的とした初めてのセミナーであります。セミナーでは、新潟大学の西村浩一教授より、「最近の雪崩災害から見た防災上の留意点」と題して基調講演をいただき、その後、土木研究所の4名が最近の雪崩研究の成果等について報告しました。

 当日は、国23名(東北地整8名、北海道開発局2名、東北森林管理局4名、秋田地方気象台9名)、秋田県27名、市町村9名、NPO砂防ボランティア協会13名、コンサル5名など多数の機関より計77名のご参加をいただき、実りあるセミナーを無事に実施できました。



(問い合わせ先 : 雪崩・地すべり研究センター)  
  ※ホームページで雪崩の動画がご覧いただけます。

   

土木研究所が新潟県から感謝状を授与されました

  
新潟県から授与された感謝状
新潟県から授与された感謝状
感謝状を授与された方々
感謝状を授与された方々

  去る11月22日(木)、7月に発生した新潟県中越沖地震に対する被災地の復旧・復興活動などへの貢献に対し、新潟県知事から「感謝状」を受けました。

 感謝状贈呈式は、10月下旬から4回(新潟県庁で2回、東京で2回)に分けて実施され、被災者の救命・救助活動や被災地の復旧・復興活動などに貢献を行った団体に対し、全体で254団体(土木研究所が参加した第4回は28団体)が受けております。
 知事からの挨拶では、「今回の中越沖地震はマグニチュード6.8の逆断層の型の地震であり、前回の中越地震における公共施設の被害がメインであったこととは異なり、液状化により個人の資産である住宅の被害が大きいものであった。年内には避難所の全員が仮設住宅に移れる見込みであり、一日も早い復興を行うことで、お礼としたい」と述べられました。

 土木研究所の主な活動は、「被害調査、応急対策や復旧工法の助言、橋梁災等の復旧について技術的な助言・指導」を行いました。



   

平井国土交通副大臣、土木研究所を視察

理事長室にて行われた概要説明の様子
理事長室にて行われた概要説明の様子
(中央が、平井国土交通副大臣)
国際公募研究員と意見交換を行う平井国土交通副大臣
国際公募研究員と意見交換を行う
平井国土交通副大臣(左端)

 去る2月7日に、平井国土交通副大臣が国土交通省関係つくば5機関を視察されました。
 車で到着された副大臣は、最初に土木研究所を視察されました。副大臣は、理事長室において土木研究所の概要説明等を受けた後、国際公募研究員との意見交換等を行い、最後に三次元大型振動台(振動実験施設)をご覧になりました。

 意見交換は、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)において、国際公募研究員(5名)が出席して行われました。まず、寺川水災害研究グループ長が挨拶するとともに、国際公募研究員を一人ずつ紹介し、その後副大臣がご挨拶され「外国での生活は何かと苦労が多いかと思いますが、ICHARMでの活躍、そして帰国された後での皆様の大いなる活躍を祈ります。」などと英語で国際公募研究員を激励されました。最後に国際公募研究員を代表してオスティ氏が御礼の挨拶をするなど予定時間を超える有意義な意見交換の場となりました。
 意見交換後、副大臣は、昨年10月末に完成したICHARMの講堂をご覧になり、マイクロバスに乗車されて三次元大型振動台へ移動されました。三次元大型振動台では、松尾耐震研究グループ長が、実験施設の主な機能や、どのような目的に利用しているか、さらにはここでの研究成果が橋梁の耐震補強などの事業に直接に貢献していることなどを説明しました。

 その後、副大臣は、次の視察場所である国土技術政策総合研究所に向かわれ、建築研究所、気象研究所、国土地理院の順にてつくば5機関の視察を終えられました。

   

洪水ハザードマップ作成研修フォローアップセミナー in 広州

Asian Institute of Technology(AIT、バンコク)のManzul Hazalika氏による基調講演
Asian Institute of Technology(AIT、バンコク)の
Manzul Hazalika氏による基調講演
セミナーの様子
セミナーの様子

 2008年1月30日〜2月1日の間、中国の広東省において第2回『EAST & SOUTHEAST ASIA REGIONAL SEMINAR ON FLOOD HAZARD MAPPING, 2008』を国際協力機構(JICA)の支援の元、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)と中国国家治水旱魃救援本部(Office of State Flood Control and Drought Relief Headquarter, China)との共催で開催しました。

 このセミナーは、ICHARMが実施している地域別「洪水ハザードマップ作成」研修のフォローアップの一環です。第1回のセミナーは昨年の2月上旬にマレーシアのクアラルンプールで開催しました。本セミナーは、上記研修を受講した研修員(以下、「帰国研修員」)を各国(中国、ベトナム、カンボジア、マレーシア、フィリピン、インドネシア、ラオス、タイ)から招待し(ベトナムは都合により欠席)、洪水ハザードマップ作成・普及に関する活動報告と、各研修員が業務を実施していく中での成功事例や直面している問題点、各国で求められている洪水ハザードマップの利活用方法等について知識・経験の共有と問題解決のためのディスカッションを行うことを目的としています。また、上記研修に対する意見や要望も取り集め、次回からの研修をより効果的なものに改善することも併せて目的としています。

 今回のセミナーでは、昨年の第1回のセミナーで報告された帰国研修員による各国の現状からどの程度プロジェクトが進行し、どのような問題に直面しているかというのが大きな焦点の一つでした。昨年度から大きく進展していた中国、マレーシアをはじめ、他の国も外国の機関と共同で洪水ハザードマッププロジェクトを進めたり、住民と共に話し合いを通じて洪水ハザードマップを作成したりと、どの国でも帰国研修員たちがプロジェクトの一員となって洪水ハザードマップ作成・普及活動が進んでいました。
 また、洪水ハザードマップ作成における各国の今後の課題として、データ整備、技術習得に加え、洪水ハザードマップ作成マニュアルのようなガイドラインの作成が必要との意見が多くの国から出されました。

(問い合わせ先 : ICHARM  国際普及チーム)

   

土研新技術ショーケースを開催しました

      
発表会場の様子(名古屋会場)
発表会場の様子(名古屋会場)
発表会場の様子(広島会場)
発表会場の様子(広島会場)
パネル展示及び技術相談
パネル展示及び技術相談

 土研新技術ショーケースを12月6日(木)に名古屋市において、12月14日(金)には広島市において開催しました。
 本ショーケースは、土木研究所の研究成果を広く普及させることを目的として、民間企業などとの共同の研究開発等により得られた有用な新技術を、道路や河川などの土木事業に関係する技術者の皆さんを対象に発表会形式で紹介するとともに、各技術についてパネルや模型等による展示と技術相談を行うものです。東京以外の地方都市での開催は社団法人建設コンサルタンツ協会の協力を得て、同協会の地方支部からのニーズが強い新技術を選定し、紹介しています。

 当日は、民間企業を中心に国土交通省、地方公共団体、公益法人などから、両会場でおよそ300名の方々にご参加をいただきました。
両会場ともに、冒頭、見波技術推進本部長が「土木研究所における研究開発と成果普及への取組」と題した講演を行い、その後、次のような新技術について紹介しました。

・3H工法・・・30m以上の高い橋脚をより速く、効率的につくる技術
・インバイロワン工法・・・鋼製の橋等の古い塗装を簡単にはがす技術
・ハイグレードソイル工法・・・建設工事で発生する残土を有効に利用する技術
・ALiCC工法・・・軟らかく弱い地盤を効率的に硬く強くする技術

 各発表に対して熱心に聴いていただき、また併行して別室で行われた展示・技術相談でも活発に意見交換がなされ、参加者には新技術をよく理解していただけたものと考えています。
 なお、2月29日(金)には東京都新宿区の野口英世記念会館で“平成19年度土研新技術ショーケース in東京”を開催します。東京開催では、土木研究所の持つ有用なシーズ技術を広く発信することとしています。詳細は本ホームページにてお知らせしていますので、是非参加してください。

(問い合わせ先 : 技術推進本部)

   

北海道開発局技術研究発表会のお知らせ

平成18年度 技術資料展示会場内の様子
平成18年度 技術資料展示会場内の様子
平成18年度 技術資料展示の様子
平成18年度 技術資料展示の様子

 北海道開発局技術研究発表会は、北海道開発局が所掌する事業に係る技術的諸問題についての調査、研究等の成果を発表することにより、技術の向上とその普及を図ることを目的として毎年開催しており、今年で51回を迎えます。

 指定課題4部門の発表討論と自由課題では技術的調査・研究等の成果報告について、「安全」「コスト」「参加」「ふゆ」など計8カテゴリー199件の論文を発表します。また、今年度は「環境」のカテゴリーに“植樹”をキーワードとした特別セッションにより、環境に対する発表の充実を図っています。
 なお、当日は同一会場内において、(独)土木研究所寒地土木研究所による「土研新技術ショーケース2008 in 札幌」も同時開催されます。当該ショーケースでは、共同研究等で開発した技術を広く一般に活用していただき、良質な社会資本の整備推進に寄与し、もって国民生活の安定、社会経済の健全な発展に役立ちたいとの趣旨で、技術の普及に関する展示を行います。

  日時 : 平成20年2月20日(水)・21日(木)
  会場 : 札幌コンベンションセンター
        札幌市白石区東札幌6条1丁目 
        TEL:011-817-1010
  主催 : 国土交通省 北海道開発局
  協力 : 独立行政法人 土木研究所寒地土木研究所
  後援 : (財)北海道開発協会


(問い合わせ先 : (独)土木研究所寒地土木研究所 企画室)

2月20日(水)
    9:20〜10:20  指定課題発表
   10:40〜12:00  開会式(特別会議場)
     特別講演
     テーマ「21世紀の日本文明を支える北海道」
        講師 竹村 公太郎  氏 ((財)リバーフロント整備センター理事長)
   13:00〜17:20  自由課題発表
2月21日(木)
    9:20〜17:00  自由課題発表

■同時開催
  ・土研新技術ショーケース2008 in 札幌 ((独)土木研究所 寒地土木研究所)
  ・建設新技術展2008ほっかいどう (建設新技術展実行委員会)
■継続教育(CPD)プログラム
 本研究発表会は、土木学会継続教育(CPD)プログラムとして認定されています。証明受付は、事務局(102会議室)で行いますので、継続教育記録簿に内容記載のうえ持参願います。また、農業土木技術者継続教育機構のプログラムとしても認定される予定です。聴講される方は、参加者名簿に会員番号を記入していただきますので会員証を持参ください。