研究成果の紹介

トンネル漏水の連続観察手法


研究の背景と目的

図-1 トンネル周辺における地下水の変動と漏水の概要
図-1 トンネル周辺における地下水の変動と漏水の概要

  トンネルで発生する漏水は、コンクリートの劣化等や通行車両の安全走行に影響を及ぼす場合があります。特に北海道のような積雪寒冷地では、冬の気温低下で漏水が凍結して氷柱やつらら等が発生します。これらは道路パトロール等で除去されますが、その作業等では労力やコストが生じています。さらに、漏水の発生箇所や量は季節変動や降雨等で変化するため(図-1)、トンネル点検時に的確に把握できない場合もあります。

  そこで、防災地質チームでは、トンネルのコンクリート壁面にみられる浸出する漏水の発生時期や量の変化する状況を連続的に捉える観察手法を提案しました。




研究成果の概要

写真-1 トンネル壁面の漏水状況と分析画像の例
写真-1 トンネル壁面の漏水状況と分析画像の例

  トンネルのコンクリート壁面の漏水を暗視カメラで連続的に画像撮影することにより、漏水の変化をとらえることができました。撮影した画像を白と黒に二値化し、白色は壁面が乾燥、黒色は湿潤の状態にあると仮定して(写真-1)、面積や割合を計算し、漏水の日単位ごとの短期的な増減や月単位の長期的な増減をとらえることができます。あわせて、漏水面積の変化から漏水量の経時変化を推定できます。また、冬には凍結した漏水が側氷等になりますが、側氷等が壁面から分離して剥落を繰り返している様子もとらえることができます。ただし、トンネル内には、外からの暖かい空気が流れ込むことで霧が発生して壁面全体が湿潤の状態となることもあり、漏水の状況を観察するには適さないこともあることに注意が必要です。




(問い合わせ先 : 寒地土木研究所 防災地質チーム)