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The Newton Apple Tree
雪崩・地すべり
研究センターたより

季刊 ・ 第43号

土木研究所 雪崩・地すべり研究センター
2008年1月発行 Snow Avalanche and Lndslide Research Center


【年頭のご挨拶】
センター所長 花岡 正明
 謹んで新春のお喜びを申し上げます
 平成19年に北陸地方は相次いで二つの激甚な地震に見舞われ斜面災害が多発し、また富士山などで特徴的な雪崩災害が発生しました。中越地震による地すべり土塊の移動現象を最も重要な研究課題としていた私どもセンターとしては、貴重な対象事例を与えられたばかりでなく、現在までに得られていた研究成果をもとにこれらの発生機構など考察することができました。中越地震から3年を経て、また平成18年豪雪以後に戦略研究として進めてきた検討も、それぞれの研究成果を研修会・セミナーなどを通じ現場の担当者などに還元できるようになりました。
 さらに東京農工大学を昨年度末に退官された中村浩之同大名誉教授に部外研究員を依頼したところ、快くお受けいただきました(現在荘厳な妙高山を望む旧家にご自宅を移されました)。加えて交流研究員として優れた研究成果をあげてくれたハスバートル氏を専門研究員として採用し、研究体制を充実することができました。
 寒地土木研究所との共同研究も、積極的に展開しています。未解明な分野が数多く残されている地すべり並びに雪崩に伴う災害に対して、的確かつ効率的な対策の策定に資する研究を強力に推進するために、地方整備局、県、雪崩・地すべり対策協議会を中心とする市町村などの関係機関、及び他の研究機関及び研究者とのネットワークを活かし、新たな気持ちで取り組んでまいります。
 今年も一層のご支援をお願い申し上げます

【トピックス】
雪氷チームと共同開催:雪崩災害防止セミナー「最近の雪崩災害と研究最前線」(秋田市)
雪崩災害防止セミナーの様子
 当センターと寒地土木研究所雪氷チームとの共同で、「平成18年豪雪」の教訓に鑑み、防雪に携わる行政など実務担当者を対象に、雪崩災害の実態と雪崩対策について理解を深めるとともに、土木研究所の最新の研究状況の紹介を目的としたセミナーを企画しました。初めての秋田県のご協力のもと「雪崩防災週間」に先立ち、11月30日に秋田市で開催しました。
基調講演では新潟大学西村浩一教授より、最近の雪崩災害の特徴と先生が取り組まれている雪崩動態解析についてピンポン球を用いた実験やシミュレーションを交え紹介していただきました。土研からは現在の主要な研究テーマ4題について紹介しました。
当日は、国の機関23名(東北地整8、北海道開発局2、東北森林管理局4、秋田地方気象台9)、秋田県27名、市町村9名、NPO砂防ボランティア協会13名、コンサル5名など多数の機関より計77名のご参加をいただき、活発な意見交換ができました。
新潟大学 西村教授 プログラム
◎開会挨拶 13:30〜13:35
寒地土木研究所 雪氷チーム 上席研究員 加治屋 安彦

◎基調講演 13:35〜14:35
「最近の雪崩災害から見た防災上の留意点」
新潟大学 教授  西村 浩一

◎話題提供
 14:45〜16:25
「雪崩災害の実態と平成18年豪雪を踏まえた雪崩研究
の新たな展開」
       当センター所長  花岡 正明
「雪崩の基礎知識と気象情報の有効活用」
寒地土木研究所 雪氷チーム 総括主任研究員 松澤 勝
「豪雪時における雪崩災害防止のための方策」
当センター前交流研究員((株)上智) 中野 剛士
「道路雪崩対策と最近の研究成果」
寒地土木研究所 雪氷チーム 研究員  松下 拓樹

◎閉会挨拶
 16:25〜16:30
秋田県 建設交通部 河川砂防課長 荻野 敏明
花岡所長


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