土木研究所 構造物メンテナンス研究センター

衝突の瞬間を科学する

普段当たり前に利用している橋ですが、地震等の災害が発生すると「落橋」することがあります。

落橋:橋脚・橋台から橋桁が落下すること

昭和大橋の落橋
昭和大橋の落橋
ゴムの講義

 緩衝ゴム博士

橋に使う緩衝材って何??

既読

博士

落橋防止構造につけるクッションのことじゃろう

博士

兵庫県南部地震で落橋防止構造の損傷が見つかってから、地震の力を少しでも緩和するために設置が義務付けられたんじゃ

???
落橋防止構造って何のこと??

既読

博士

橋を支える部材が壊れた時に、機能の一部を肩代わりする部材じゃよ
まあ保険のようなものじゃな

博士

もし、落橋防止構造が機能せず橋が落ちれば、下を通る人や物にだって被害が生じる可能性があるのじゃよ

博士
兵庫県南部地震:西宮港大橋

兵庫県南部地震:西宮港大橋

それが阪神・淡路大震災で壊れてたってこと?大問題じゃない??

既読

博士

その通りじゃ
あくまでも保険の機構ではあるが、その保険が適用されなかった時の被害は写真を見れば想像に難くないじゃろ

そうだね。。。

既読

でも緩衝材をつけたならもう安心だね!

既読

博士

今はあくまでも「衝撃的な力をできるだけ緩和できる構造とする。」としか決まっておらんのじゃ

博士

だからこそ、「実際の緩衝材にどこまで期待していいのか」を確かめるべく、研究をする必要があるのじゃ

つけることは決まってるのに、「できるだけ」って、どれくらいのこと??
極端な話、今着てるこのダウンジャケットでもいいのかな??

既読

博士

ダウンよりは性能が高いと考えられるものがあるから、使えないはずじゃ
同時に、使えるか使えないか、わからないものがあるのも事実じゃ

博士

そこで!設置の原因となった地震の時に公刊された資料をベースに緩衝材を製作して、その能力を探っておる

※「兵庫県南部地震により被災した道路橋の復旧に係る仕様」の準用に関する参考資料
(案):H7.6、日本道路協会

博士

この復旧仕様で使われたゴム緩衝材は、いまだに基準のない現代において、唯一の指標とも言えるのじゃ

それは頼っちゃうね

既読

博士

下に実験映像の1つを添付するぞ
緩衝材に鉄の重りを落として、その能力を確認する実験じゃ
大きさは200(mm)×50(mm)じゃ

博士

<試験内容>
緩衝ゴムに3トンの重鍾を落下させて緩衝能力を確認

半分以上も潰されちゃったのに、そこから押し戻すだけの力がゴムにはあるんだね!!

既読

でも、衝撃の力もやっぱりとんでもなく大きいんだね

既読

博士

そうなのじゃ
仮にゴムが無事でも、受け止める側が耐えられないことも考えられるのじゃ

博士

さらに復旧仕様では、ゴム厚が50mmと決められておるが、厚いほど緩衝効果が大きいのもわかっておる。その分、ゴム自体のバランスは悪くなるがの

博士

さらにさらに、復旧仕様では、想定された衝突時の速度の設定がないことから、実際の衝撃力は不明瞭なのじゃ!

わかった!
僕が受け止める側の耐力と衝突する時の速度を検証すればいいんだね!!

既読

博士

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研究者

参考資料

コンテンツ作成:江口 康平、菅原 達也
更新日:2021/8/25