研究成果の紹介

北海道における不良土対策マニュアル

  写真-1 不良土の例


  写真-2 衝撃加速度試験機



1.「北海道における不良土対策マニュアル」について

  寒地地盤チームでは、1985(昭和60)年、北海道における不良土対策マニュアル(案)を発刊しました。このマニュアルは、不良土(工事等で発生する土砂のうち、そのままでは道路盛土や河川堤防などとして使用することが困難な材料(写真-1))を有効利用するための北海道開発局技術職員向けの手引き書でした。しかし、発刊から約30年が経過し、追加掲載すべき内容が増えたことから、2013(平成25)年4月改訂版を発刊したものです。不良土の判定方法、対策工法、品質管理方法についてわかりやすく解説した技術基準書となっており、国土交通省北海道開発局の道路設計要領において、準拠すべき指針として採用されています。


2.北海道における不良土対策マニュアルの構成

  このマニュアルでは、寒地地盤チームでこれまで検討してきた北海道で発生する不良土に関する技術的な課題を解決するための考え方を示しています。マニュアルの構成は次のとおりです。

    第1章  総説

    第2章  北海道の不良土

    第3章  不良土の調査と判定

    第4章  不良土対策工法

    第5章  セメント・石灰安定処理工法

    参考文献


3.本マニュアルの改訂ポイント

  今回の改訂に当たっては、最新の研究成果を取り入れるとともに、事例集を新たに編纂するなど若手技術者にも理解しやすい内容にしました。主な改訂点は以下の通りです。

  1)不良土の判定方法は主にコーン指数(土の固さを表す指標)によることを掲載しました。2)固化材により改良した材料について、衝撃加速度試験機(写真-2)による品質管理方法、六価クロムの溶出基準、固化破砕土としての利用方法、寒冷地で使用する際の問題点などを掲載しました。3)現場からの相談が多い酸性硫酸塩土壌について判定方法を含めて対策方法を掲載しました。4)今後の研究によって実用化が可能な工法を紹介しました。


4.入手の方法

  本マニュアルは、印刷物としての発刊ではなく、ホームページのWebサイト(http://jiban.ceri.go.jp/)からダウンロードできる方法で発刊しています。是非ご活用下さい。



(問い合わせ先:寒地土木研究所 寒地地盤チーム)

「地すべり防止のための水抜きボーリングの実際」が刊行されました

(クリックすると書籍の詳細へジャンプします。)


  地すべり対策では、地すべりの主要な原因となる地下水を排除するため横ボーリング工や集水井工などが施工されます。横ボーリング工や集水井工に設置される集水ボーリング工は、水抜きボーリングと呼ばれ、現場では施工時のトラブル発生を防止するため、さまざまな工夫がなされています。土木研究所では、水抜きボーリングの施工にあたって必要な基礎知識と施工時のトラブル発生防止のために留意しておくべき事項を、書籍「地すべり防止のための水抜きボーリングの実際」として、若手技術者向けにとりまとめました。

  本書は、用語編、準備編、削孔編、保孔管編、検査編、維持管理編の6つのセクションから構成し、「水抜きボーリングで使う保孔管って何?」、「ツールスって何?」、「孔曲がりしない工夫って?」、「保孔管はどうやって入れる?」、「孔曲がりって測れるの?」、「点検はどうするの?」などの47の質問に対して回答する形式で基礎的知識や留意点を解説しました。また、水抜きボーリングの施工に携わり始めた技術者にも容易に理解できるよう、写真、イラスト、図をふんだんに盛り込みました。さらに、機械や施工に必要なツールス、保孔管の一覧表、歴史変遷等も付録として掲載しています。

  この書籍はB5版、全128ページで、鹿島出版会より3,400円(税抜き)で販売されています。本書は、2009(平成21)〜2011(平成23)年にかけて土木研究所と民間会社8社の共同研究として実施した「地すべり地における地下水排除ボーリング工の排水性能調査」で明らかとなった水抜きボーリング工の施工実態や施工時のトラブルや工夫の実態などをわかりやすくとりまとめ直したものです。若手技術者をはじめ発注者の皆さんにも活用いただける内容となるよう配慮しました。

  詳細は、下記をご覧下さい。


http://www.pwri.go.jp/team/landslide/kanrisya/groundwater_manual/manual_pablicate_book.htm



(問い合わせ先:地すべりチーム)