研究成果の紹介

「3H工法」現場見学会及び新技術講習会の開催  〜 「3H工法」って何? 〜

在来工法と3H工法
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スパイラル
スパイラルカラムの組立作業
スパイラルカラムの組立作業
橋脚断面を熱心に見学する参加者
橋脚断面を熱心に見学する参加者

 島根県の尾原ダムと秋田県の成瀬ダムの建設現場において「3H工法(高橋脚建設新技術)」の現場見学会及び新技術講習会を開催しました。

Q.「3H工法」って何?
A.3H(Hybrid Hollow High pier)工法とは、耐震性に優れ、
  工期短縮、コスト縮減を可能とした高橋脚の建設技術です。
  この工法の特徴を表す3つのキーワードがいずれもHで
  始まることから3H工法と名付けています。
Q.「3H工法」の特徴は?
A.従来の鉄筋コンクリート橋脚における軸方向鉄筋及び 
  中間帯鉄筋の代わりに、らせん状に加工した鉄筋が
  H型鋼を囲うように巻き付けたスパイラルカラムが
  第一の特徴です。橋脚の建設では、このスパイラル
  カラムを橋脚断面内に複数本配置します。
Q.「3H工法」の効果は?
A.耐震性能及び施工安全性が向上し、かつコストも
  ダウン し、工期も短縮する、というメリットを有しています。
  ※本技術は、平成18年度 土木学会技術開発賞を受賞しました。

<尾原ダム>
・7月26日 現場見学会 約60名の方が参加しました。
・7月27日 新技術講習会 島根県出雲市内において実施しました。
<成瀬ダム>
・8月2日 現場見学会 約70名の方が参加しました。
・8月3日 新技術講習会 秋田県横手市内において実施しました。

 両見学会とも、建設現場において、3H工法の特徴である地上でのスパイラルカラムの組立て作業、建設中の橋脚に登って橋脚断面を見学することで、工法の理解に繋げました。

(問い合わせ先 : 技術推進本部)

 

環境ホルモンが魚類に及ぼす影響 〜オスがメス化? メスがオス化?〜

昔の川 魚たちが元気に泳いでいた
その後
高度成長期の川 川が汚れて魚たちがいなくなった
その後
下水処理場が整備された川 魚は戻ってきたけど環境ホルモンの影響が
その後
最新鋭の下水処理場 また魚たちが元気に泳いでいる

 1997年に日本でも出版された「奪われし未来」により、いわゆる「環境ホルモン」(行政としては「内分泌かく乱化学物質」と言っています)の問題が、人々の関心を大きく呼ぶようになりました。野生動物のオスがメス化している、あるいはメスがオス化しているといったことが報告され、人間にも影響が現れているのではないか、という不安を抱いた方も多いことでしょう。その後、国等による大がかりな調査や研究が行われた結果、環境中に存在する濃度で明確に内分泌かく乱作用を持つ物質や、環境中で環境ホルモン作用が現れている事例はそう多くはないことがわかってきました。このため、環境ホルモンの問題はすっかり沈静化したと多くの人々には見られています。
 こうした状況の中、土木研究所水質チームでは、継続して環境ホルモンの河川等における実態や生物影響を研究しています。その結果として、
・ 河川に存在する環境ホルモンのうち生物への影響が大きいと考えられるのは、人間や動物が排泄する女性ホルモンであるエストロンと17β-エストラジオールという2つの物質であること
・ これらの由来が都市河川においては主に下水処理場であること
・ 河川水中のこれらの濃度が高くなる場合には、オスの魚の体内に、メスだけが持つ卵黄のもとになるタンパク質ができること
が明らかになりました。
 したがって、環境ホルモンの影響が河川にすむ生き物に現れないようにするためには、下水処理をより高度に行うことにより、下水処理水と河川の中のエストロンと17β-エストラジオールの濃度を影響がないレベルに保つことが必要です。私たちは、河川にすむ生き物に快適な環境を与えるような下水処理方法を提案するために、さらに研究を続けています。

(問い合わせ先 : 水質チーム)